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『縄文時代の歴史』山田康弘(講談社現代新書)

『縄文時代の歴史』山田康弘(講談社現代新書)

2019年
328頁




目次(収録作品)

プロローグ 縄文時代前夜
第1章 縄文時代・文化の枠組み
第2章 土器使用のはじまり 草創期(1期)
第3章 本格的な定住生活の確立 早期(2期)
第4章 人口の増加と社会の安定化・社会複雑化の進展 前期・中期(3期)
第5章 精神文化の発達と社会の複雑化 後期・晩期(4期)
エピローグ 縄文時代・文化の本質

縄文時代とは、日本列島において、土器が出現した1万6500年前から、灌漑水田稲作が開始される3000年~2500年前までの時代をさす用語です。

この時代には、狩猟・採集・漁労を主な生業とし、さまざまな動植物を利用し、土器や弓矢を使うなどして本格的な定住生活が営まれていました。1メートルにも及ぶ柱材を使用するような大型建物を作る技術や、クリ林の管理や漆工芸を始めとするきわめて洗練された植物利用技術を持ち、各地の環状列石や土偶に見られるように、複雑な精神文化がありました。また多数の集落が婚姻や交易などによってつながり合い、列島内には広範な社会的なネットワークがつくりあげられていました。

世界史上にも類例のないユニークな存在としても知られる縄文時代。最近のDNA分析によると、現代日本人の遺伝子にも、12パーセントほどは縄文人から受け継いだものが存在しているということです。著者によれば、日本人の円環的な死生観には、縄文人から受け継いだ要素が色濃く反映しているといいます。その意味において、縄文人は今もわれわれの中に生きている、そう言ってもよいのかも知れません。近年の縄文ブームも、もしかしたら、そのような親近感ゆえのことかも知れません。

近年の発掘調査、および科学的な分析技術の飛躍的な発展で新たな知見が次々に明らかにされたことにより、旧来の縄文像は一新されることになりました。千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館では、これら最新の研究の成果を元にして、縄文時代の展示をリニューアルしました。本書は、その責任者による、最も新しい縄文時代像を紹介するものです。

出典:講談社BOOK俱楽部

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