国民として基礎的な大事なことを語っている。聞き取りにくい部分にも重要なところがあるので書き起こしておく。
「昔」の人なら学がなくても多くの人が弁えていた当然のことだろうが、我が国ではなぜかそれが希薄にうつろになってしまっている。
出典:「古を思う」戦国時代、あの時代の心掛けに成れ~小野田寛郎さんの遺言~
[]は、筆者の注または筆者が補ったもの。※は筆者の解釈による補い。
厳密に話した通りではない。分かりやすさのために細かい表現は変えている所がある。また、非常に聞き取りづらい箇所もあり、(ほぼ正しいと思うが)正確に書き起こせた確信はない。
「小野田寛郎さんから日本人の皆様へ」平成23年(2011)9月20日(東京都中央区 佃公園にて)
結局、まずは自立することなんですよね。よそに振り回されるようじゃ、やっぱり嫌ですね。
僕は特に負けん気が強いのか、意地っ張りだし、それから極端に言えば気が短いんですよ。
だから、あれみたいにね、織田信長、豊臣秀吉、狸親父[徳川家康]たち、戦国時代のおしまいの日本。
ああいうことを見ると、やっぱり日本人の平均点てどういう所だかはっきりわかると思いますよね。
だから戦国時代をみれば、あの時分の心掛けになれば、今の日本人はちゃんと振り回されんで立っていけるんじゃないかなあと思うんですけどねえ。
何にしても今のとこ自立してないんですね。自分でやる。立とうっていう気がない。
だから戦争になるとどうなるって[言う人がいるけど]、戦争をそんなに嫌ったって、戦争なんていつ起こるかわかんないし。たとえば、徳川家康のおしまいに天王寺のお寺を建てて、で「国家安康」って文字を釣鐘に刻んだら、国家の「か」は[家康の]「いえ」で、安康の「こう」は[家康の]「やす」だから、自分の家康という文字を国家[という文字]で切ったと言って、人を呪ったようなお寺を作ったなんて[豊臣秀頼に]因縁つけて、そいで大坂城で、あの、合戦になるんだけど。
その前に一回ガタガタしてた頃、[家康は]外堀を埋めてるから、今度は自分が戦争をはじめりゃ勝つに決まってるから。[因縁をつけて戦をやった]
だから、そういうことを考えると今の中国なんか相手がなんと言おうと、おしまいに因縁つけて日本へいつでも入って来れるし。
だから、そういう時にそれでいいなら、いいですけども。僕としちゃ嫌だから。だから嫌なひとは全部日本人のうちで、はっきり右か左か見極めて、そういう人だけで自分等でしっかり組んで[やらなければならない]、後どうなるかとかは相手次第だと思うんですけどね。
まずは自分たちがはっきり一丸になることが必要だと思うんですけど。
今の政治家なんか隣りの国から来て日本の政治をいじっているみたいな気がするんだけど。ちょっとバカにしても、アホらしくて物言えなくなっちゃったよ。
こないだも文春が20人ぐらいピックアップして、司馬遼太郎の書いた『坂の上の雲』の人物の中で、感泣するような人物について20枚位書いてくれって言うけど、断っちゃった。
やはり、司馬遼太郎は自分の事として、自分の主観が入って、そうやって『坂の上の雲』を書いてるから、だから事実かって、事実でないものを知り、感泣したところを書けったって書きようがないし。
だから、僕は男の子だから泣くの嫌いだから、感じることは感じたって、泣くことは嫌いだから感泣したなんていうことに関しては書きたくない、って理由つけて断っちゃったんですけど。
雑誌社だって売れなきゃ困るんだから、世間全体に逆らうようなことは書きたくない。
この前も、100枚位かなあ、今の日本をどう思うかってのを書いたけど、ここんとこ削ってくれ、と言われたから、没にしろって言ったことあるんだけど。むこうも何とかと言うから、その一部を削って出したった。
やっぱりみんなそれぞれマンマあるから、そうだと思っても書かない。
あるいは、好きなこと書いたら売れないから書かないとかいろいろある。だけど、そういう買わない、売れない、そういう気運にしてるのが日本人全体なんだけど。
目覚めるいい時期だと思うんだけど。
日本人だからって誰構わず信用するとか、あるいは人間だから誰構わず信用するとか。
たとえば、こないだの鳩山首相みたいな物の考え方、友愛なんて物の考え方、こんなのは食うか食われるかの国際社会で通らない。そんなものを真に受けて聞くやつも聞くやつなんだけど。
[日本人全体が]平均してなにをどの程度まで考えているのか、あるいは覚悟しているのか。[※が国・国民をまもるために重要なことだ]
まあ、もう一代かぎりで我が世の春を謳歌して、それで終わるっていうなら、あとの孫子(まごこ)の問題も何もないんなら、それはそれでもいんだけども。
だけども、そんな簡単な人間と僕はお付き合いしたくないし。また、日本中みんなそうだとは考えられないです。やっぱり自分たちの民族を地球があるかぎり残そうと思っているしっかりとした人があるはずなんだがなあ。
やっぱり日本っていう国は、本当の日本人の国であってほしい。よそから振り回されてもらいたくない。
この頃、あのぐらいシナが露骨に動いてたり、あるいはロシアも露骨に動いていますけど、それに対してやっぱりニュースはだれもはっきり声を上げないから、一体どこまで沈むのかなあと。
絶対戦争がないってことはあるはずがないんだから。
勝てると思ったらいつだって入ってくるって、それが世界の現実だから。
もうすこし現実というか、世界あるいは人間というものをはっきり考えてほしいと思います。
だから、今回もそんなことして雑誌社に投稿するのを断ったんだけど。まあ困った世の中だなと思って。
そういう意味では今、台湾の人なんかも考えてるでしょうけど、日本も台湾も同じ立場だったと思いますね。[注]
台湾はしっかりしてるね。
ちゃんと立ってる人だから、手をつないで肩を組んでくれるけど、ひとりで歩けないような人間に長く肩を貸してくれるわけがない。
そういう簡単なことから考えても、自分はちゃんと自分の足で立って歩けるような人間じゃなきゃ。あるいは、自分の足で立って歩ける国じゃなきゃ、よその国あいてにする権利ないと思う。
30年も自分の銃しか頼れなかったって、自分一人の力しか頼れないで生きてきたから、敵味方にたいしては非常に敏感で過激な考え、感情をもっているだけかも知れないけど、だけどあくまで生きるって意味じゃ、まず自分がひとり自立できないかぎり生きていけないんだから、そこの原点があると思うんですけどね。
もうあきません。どこまでさがったらいけるのか、あるいはそのままなくなり、「あばよ」で死んだらそれまたいんじゃない。まあ、墓のいらん人が沢山いるんだから、そういうのが沢山いるはずなんですけど。
まあ、それでいいと思いますよね。その人たちはそれで自由なんだから。
だから相手が自由だっていうんだからこちらも自由であって、もうお義理にでもやる謙譲の美徳だとか、そんな事を、そんな人間相手になにも発揮する必要はないと。
相手がそうなら、こちらはこちらで、はっきりしていいと思うんだけど。日本人の美点かもしれないけど、弱点でもある。あまりこういうこと言ってたら、小野田のやつ日本人じゃないと言われるかもしれないけど。
まあ、和歌山の多田(おおた)の里に有史以来住んできたんだから、日本人じゃないことはないはずなんですけどね。
(以上)
[注]
ここは動画の字幕では「日本も台湾も戦争が始まった」となっていて、筆者が書き起こしたものと意味が大きく異なる唯一の箇所。