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『タイプ論』ユング(みすず書房)

『タイプ論』カール・グスタフ・ユング、林道義訳(みすず書房)

1987年
644頁




目次(収録作品)

序論
第一章 古代および中世の精神史におけるタイプ問題
1 古代の心理について――テルトゥリアヌスとオリゲネス
2 古代教会の神学論争
3 化体の問題
4 唯名論と実念論
a 古代における普遍問題/b スコラ哲学における普遍問題/c アベラールの統合の試み/5 ルターとツヴィングリの聖餐論争
第二章 タイプ問題に関するシラーの理念について
1 人間の美的教育についての書簡
a 優越機能と劣等機能について/b 基本衝動について
2 素朴文学と情感文学についての論文
a 素朴な構え/b 情感的な構え/c 理想主義者と現実主義者
第三章 アポロン的なものとディオニュソス的なもの
第四章 人間観察におけるタイプ問題
1 総論――ジョーダンのタイプ分けについて
2 ジョーダンのタイプ分けの個別的な説明と批判
a 内向型の女性(より情熱的な女性)/b 外向型の女性(さほど情熱的でない女性)/c 外向型の男性(さほど情熱的でない男性)/d 内向型の男性
第五章 文学に見られるタイプ問題――カール・シュピッテラーの『プロメテウスとエピメテウス』
1 序論――シュピッテラーのタイプ分けについて
2 シュピッテラーのプロメテウスとゲーテのプロメテウスの比較
3 総合のシンボルの意味
a 対立問題についてのバラモン教の理解/b 総合のシンボルについてのバラモン教の理解について/c ダイナミックな法則性としての総合のシンボル/d 中国哲学における統合のシンボル
4 シンボルの相対性
a 女性への奉仕とこころへの奉仕/b マイスター・エックハルトにおける神概念の相対性
5 シュピッテラーにおける統合のシンボルの性質
第六章 精神病理学におけるタイプの問題
第七章 美学におけるタイプごとの構えの問題
第八章 現代哲学におけるタイプの問題
1 ジェイムズのタイプ論
2 ジェイムズのタイプ論における特徴的ないくつかの二項対立
3 ジェイムズの見解を批判するために
第九章 伝記におけるタイプの問題
第十章 タイプの一般的説明
1 序論
2 外向型
a 意識の一般的な構え/b 無意識の構え/c 外向的な構えにおける心理的基本諸機能の特質:思考/外向的思考型/感情/外向的感情型/合理的タイプのまとめ/感覚/外向的感覚型/直観/外向的直観型/非合理的タイプのまとめ
3 内向的
a 意識の一般的構え
b 無意識の構え
c 内向的な構えにおける心理的基本諸機能の特質:思考/内向的思考型/感情/内向的感情型/合理的タイプのまとめ/感覚/内向的感覚型/直観/内向的直観型/非合理的タイプのまとめ/主要機能と補助機能
第十一章 定義
抽象/激情/情調/アニマ・アニムス/統覚/太古性/元型/同化/意識/イメージ/思考/分化/異化/感情移入/構え/情動/感覚/エナンティオドロミー/外向/感情/機能/思考内容/感情内容/自我/理念/同一化/同一性/想像/個性/個性化/個人/知性/取り込み/内向/直観/非合理的/集合的/補償/具象性/構成的/リビドー/権力コンプレックス/劣等機能/客観段階/方向づけ/「神秘的融即」/ペルソナ/夢想/投影/心/合理的/還元的/こころ(ゼーレ)/こころの像/自己/主観段階/シンボル/総合的/超越機能/衝動/タイプ/無意識/意志
結語

補論
1 心理的諸タイプの問題について
2 心理的諸タイプ
3 心理学的タイプ論
4 心理学的タイプ論

ユングの彪大な著作の中で「タイプ論」はひときわ高くそびえる高峰である。ユング自身、本書を「臨床心理学の分野における、ほぼ20年にわたる研究の成果」と呼んでいる。ドイツ語版全集編者のいうように「これはユングの最も有名な著作の一つ」なのである。
しかし題名のみよく知られながら、これまで紹介されたのはほんの一部にすぎなかった。ここに読みやすい明快な翻訳で、その全貌が初めて読者の前に明らかになる。
人間は古来タイプへの関心をもち続けてきた。古代ギリシアのガレノスの多血質・粘液質・胆汁質・憂鬱質から始まって、クレッチマーの体格と性格を対応させる学説まで、多くの分類がなされてきた。ユングは従来の学説を批判的に検討しつつ、内向と外向という二つの一般的な構えのタイプ、そして思考・感情・感覚・直観という四つの機能タイプを打ち出した。さらに優越機能一劣等機能という概念を導入して、外では能弁で外向的な人が家に帰ると無口で内向的になるといった同一人物における相反する事実を説明して、タイプ論のアポリアを乗り越える。
著者は古代から現代に至るまで、神話・宗教・哲学・文学・美学・精神病理学など広大な領域に分け入っている。テルトゥアヌス、オリゲネス、アベラール、ルター、ツヴイングリなどキリスト教史上の人物たち。シラー、シュピッテラー、ニーチェ、ワーグナーなどの作品。ユングはこれらの人物のタイプや作品のもつ意味を解明しながら、雄大な思想史的ともいうべき世界を展開している。

出典:みすず書房公式サイト

タイプ論

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