2010年
288頁
目次(収録作品)
薔薇盗人/野/聖ヨハネ病院にて/姫鏡台/柳の葉よりも小さな町/大懴悔/美人画幻想/白い屋形船/上野桜木町/ブロンズの首
半身不随の病苦の中で一字一字刻みつけた魂の言葉。「私小説」の佳品10篇
文学への純粋な情熱を胸底に78年の生涯を私小説一筋に生きた上林暁。脳溢血で半身不随、言語障害を患った晩年も、左手と口述で一字一句、彫心鏤骨の作品を生みつづけた。川端康成に賞賛された出世作「薔薇盗人」、心を病む妻を看取った痛切な体験を曇りない目で描く「聖ヨハネ病院にて」、生と死のあわいを辿る幻想譚「白い屋形船」(読売文学賞)等、人生の苦悩の底から清冽な魂の言葉を響かせる珠玉短篇集。
出典:講談社BOOK俱楽部