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「美〔いつたん此世に〕」高村光太郎

川端康成が「ほろびぬ美」で言及(引用)している。

美〔いつたん此世に〕 高村光太郎

 いつたん此世にあらわれた以上、美は決してほろびない。
 眞理はつねに更生せられて、一つの眞理から次の眞理へとうつりかわり、前の眞理はほろびる。それが眞理の本然である。
 美は次々とうつりかわりながら、その前の美が死なない。紀元前三千年のエジプト藝術は今でも生きて人をとらえる。
 一民族の運命は興亡常ないが、その興亡のあとに殘るものはその民族の持つ美である。その他のものは皆傳承と記録との中にのみ殘るに過ぎない。
 美を高める民族は人間の魂と生命とを高める民族である。


高村光太郎作品リスト (青空文庫)

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