単行本・ソフトカバー
2015年2月27日初版発行
221頁
(p.2)
「朝日新聞との四十年戦争」という企画に従って、一つの回想録として書いたのが本書です。
という通りの本。
渡部の大西巨人についての発言に端を発する朝日の捏造報道、ロッキード裁判についての発言に端を発する立花隆との戦い、教科書書きかえ誤報問題、慰安婦問題、南京事件等について語られている。
著者の他書との重複も多く、「朝日新聞との四十年戦争」というには名前負けしている感はある。
「戦い」において数多くの嫌な思いや苦労があったはずで、それらをもっと知りたかった。そういうことをくだくだしく述べるのは、渡部は潔しとしないのかもしれない。
一読しても悪くはない本。(内容はすこし異なるが、高山正之との対談本『渡部昇一の世界史最終講義』の方が、本書の内容もある程度カバーしていて、全体的には本書よりよいかもしれない)
なお、本書では「百人斬り」(p.28)が朝日新聞が報道したように読めるが、これは「東京日日新聞」(毎日新聞の前身)が報じたもの。
なお、所々出典を明記していない箇所があり気になった。
(p.177)
かくまでも 醜き国に なりたれば 捧げし人の ただに惜しまる
若くして夫を亡くした、ある未亡人の歌です。
出征する夫を、お国に捧げるつもりで送り出したのに、戦争が終わると、日本は侵略国だったと断罪され、同胞までもがあの戦争を悪しざまに言う。そんな醜い国になってしまった日本に夫を捧げたのかと思うと、ただただ惜しまれる――。
息子を亡くした母親、兄弟を亡くした姉や妹。当時、同じ思いをした人はたくさんいたと思います。(略)
いろいろ考えさせられる歌。
この歌は『昭和万葉集』(全20巻、講談社)に収められているらしい。