『利休の黒 美の思想史 尼ヶ崎彬セレクション1』尼ヶ﨑彬(花鳥社)全4巻
2022年
320頁
目次(収録作品)
序 「生の術」としての茶道
第一章 日本の奇妙な文化 宣教師の見た「茶の湯」
1 ロドリゲスの『日本教会史』
2 秩序の基礎としての身分制度
3 宴会の幸福
4 「茶の湯」という特殊な招宴
5 隠者と名物
6 「数寄」の目的
7 ロドリゲスの見た日本文化と茶の湯
第二章 「茶の湯」前史 遊宴と貴賤
1 雅俗と遊宴
2 遊宴の中の茶
3 勝負の興奮
4 機知の遊びとしての連歌
5 礼法と無礼講
6 「会所」という自由空間
第三章 婆娑羅と闘茶 「雅」から「数寄」へ
1 闘茶の登場
2 「婆娑羅」—豪華絢爛の風流—
3 闘茶の理想—『喫茶往来』の茶会と茶人—
4 歌の数寄と茶の数寄
第四章 『山上宗二記』のストーリー 秘伝と禅
1 茶の湯の起源
2 貴賤同座と名物所持
3 茶人の分類
4 珠光一紙目録
5 茶の湯の様式の変化—数寄の流行—
6 義政と珠光
7 禅の影響
8 『山上宗二記』とは何か
第五章 珠光の美意識 「雲間の月」と「藁屋に名馬」
1 雲間の月
2 見える花から見えない花へ—長明の「秋の夕暮」—
3 身に沁む「あはれ」—兼好の大路—
4 「萎れたる」風情—世阿弥の花—
5 「花」は散らねばならない—心敬の無常—
6 「冷え」という美意識
7 「藁屋に名馬」
第六章 都市の隠者 「侘び」と「中隠」
1 「侘び」の源流その一—配流の生活—
2 「侘び」の源流その二—閑居の自適—
3 「侘び」の源流その三—「空」と「無常」—
4 出世間の思想—山中への遁世と市中の隠者—
5 珠光の継承—宗珠—
第七章 紹鷗の開眼 「不変」と「随縁」
1 紹鷗の眼
2 『詠歌大概』という秘伝
3 宗祇の解釈
4 本歌取という唯一の方法
5 定家の本歌取
6 不変の「心」と新しい「情」
7 「心付」と「寄合」
8 世界を見る眼
9 不変と随縁
10 ただ一つの道具
第八章 秀吉のかき回し 茶の湯と政治
1 信長の手柄—政治のための茶の湯—
2 秀吉の創意
3 山里丸
4 大徳寺大茶湯
5 禁中茶会
6 北野大茶湯
第九章 茶道具の誕生と変容 「飾り」と「見立て」
1 雅俗と茶の湯
2 茶の湯の道具と飾り
3 発見された茶道具—「見立て」という創造—
4 茶道具の価値
5 「見立て」の逆転
6 藁屋と名馬
7 墨跡の登場
第十章 利休の黒
1 利休の史料
2 利休と道具
3 新しい「雅俗」—「贅沢な貧弱」と「軽薄」—
4 「こび」と「異風」
5 利休の理想
終章 その後とこれから
1 利休没後の茶道
2 文化としての茶と酒
3 茶の文化のゆくえ
日本人はいかにして「日本人」になったのか?
「仏教の無常」「老荘の脱俗」「和歌の伝統」……日本の美を決定づけた事象や人物を掘り下げ、思想史として体系づけた待望の書き下ろし。
出典:花鳥社公式サイト