『社会科学の人間学―自由主義のプロジェクト』橋本努(勁草書房)
1999年
391頁
定価:6,050円(税込)
目次(収録作品)
序章 問題
0 方法と人格
1 自由主義の人間的基礎
2 ウェーバー研究の批判的継承
3 課題の構成
第一章 人格論――近代主体と問題主体
0 問題
1 人格論
2 近代主体
3 問題主体
第二章 決断論――決断主義と成長論的主体
0 問題
1 「決断」概念の分析
2 決断主義
3 決断主義批判の検討
4 〈決断主体〉批判と「成長論的主体」
5 「成長論的主体」の検討
第三章 責任倫理論――多元的拮抗へ
0 問題
1 信条倫理と責任倫理をめぐる諸論点
2 責任倫理の類型論
3 問題主体の責任倫理に向けて
第四章 闘争論――運命と自由
0 問題
1 運命論
2 闘争論
3 運命的闘争としての自由主義
第五章 方法論――価値自由から問題自由へ
0 問題
1 四つの立場:近代主体・精神的貴族主義・可能主体・問題主体
2 社会科学システムの基本構成
3 社会科学システムと人格の関係
4 価値自由から問題自由へ
終章 結論
「社会科学の人間学」とは、社会科学の営みによって陶冶しうる善き人格の理念を探求する学問を指す。つまり社会科学を「する」ということは、どのような人格を練りあげることになるのか、という問いである。これはすぐれてウェーバー的な問いである。本書はウェーバーの近代主体という理念を全面的に再検討し、現代の社会学、政治哲学、規範理論などの成果を加味して全く新しい人間像と秩序構想を提唱している。それが「問題主体」と呼ばれるモデルである。自由主義の背骨をなす強固な人格理念を彫琢する独創的論争的な挑戦の書である。
出典:勁草書房公式サイト