『明治精神史』(上下)色川大吉(岩波現代文庫)
上巻
増補版2008年
287頁
定価:1,210円(税込)
目次(収録作品)
第1部 国民的覚醒の時代
明治ルネッサンスの記念碑-ある地方の人間発掘から
草莽の目ざめ-横井実学党を支えた一族たち
豪農民権への展開-徳富猪一郎の思想形成
自由民権運動の地下水を汲むもの-透谷をめぐる青年群像
民権と国権の相剋-大矢蒼海と大阪事件内面史
“戦士・詩人・思想家”の生誕-透谷における原体験の意味
地方知識人の道統-秋山国三郎の人と精神
在村活動家型民権家の二つの軌跡-平野友輔と細野喜代四郎
人民ニヒリズムの底流-困民党指導者、須長漣造の思想
下巻
増補版2008年
368頁
定価:1,320円(税込)
第2部 国家進路の模索の時代
新日本の進路をもとめて―徳富蘇峰の描いた未来像
“三酔人の経綸問答”-中江兆民の模索
明治二十年代の思想・文化―西欧派と国粋派の構想
明治三十年代の思想・文化―明治精神史の断層
天皇制イデオローグとの対決―内村鑑三の日本批判
明治人の可能性を示すもの―一民権家のその後の思想)
第3部 方法論的序説
歴史家の宿命について―歴史叙述と文学
明治文化史の構想について―“書評”の形をかりて
思想史と精神史について―“あとがき”にかえて)
第4部 問題の所在
明治精神史の方法と課題―初版への批判にこたえて
天皇制イデオロギーと民衆意識(序説)
蘇峰思想体系の三要素―資料「将来之日本」の分析
近代思想の矛盾構造―資料「分析=評価基軸」
民衆思想史の草分けとなった著者の記念碑的代表作.大学紛争が全国的に展開され,近代の価値が厳しく問われていた時代にあって,大きな共感をよんだ.いまなお読み返されるべき戦後歴史学,戦後思想史の名著である.テクストは全集に収録されている「新編」ではなく1968年刊行の「増補版明治精神史」.(全2冊)
出典:岩波書店公式サイト