『大東亜会議の真実―アジアの解放と独立を目指して』深田祐介(PHP新書)
2004年3月31日初版発行
329頁
著者は小説家。(1931-2014)
1943年、東京の国会議事堂で開かれた大東亜会議について書かれた本。
会議に参加した人物を描いて、当時のそれぞれの国の状況も分かるように説明されている。
中華民国の汪兆銘院長、タイのワン・ワイタヤコーン首相代理、満州国の張景恵総理、フィリピンのウレル大統領、ビルマのバー・モウ首相、自由インド仮政府首班のチャンドラ・ボースらそれぞれの立場や思惑、人生を描き、当時の状況とその中における大東亜会議がどのようなものであったのかが、理解しやすくまとめられている。
通訳を務めた浜本正勝についての記述も興味深い。
また、後藤新平がアヘンを絶滅させた話、オランダがインドネシアに行った強制栽培制度、イギリスのオーストラリアでのアボリジニの虐殺等、あまり採り上げられないが、重要な事柄に触れているのもよい。
なかなかおすすめの一冊。
品切れ重版未定になっているのが、残念な本。
本書は、『黎明の世紀―大東亜会議とその主役たち』(1991・文藝春秋)に大幅な加筆と修正を加え、改題して新書化したもの。
[関連]
『黎明の世紀―大東亜会議とその主役たち』深田祐介(1991・文藝春秋)単行本
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『黎明の世紀―大東亜会議とその主役たち』深田祐介(1994・文春文庫)
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[参考]
『マッカーサーが探した男』香取俊介(1998・双葉社)
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