『心―日本の内面生活の暗示と影響』ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)、平井呈一訳(岩波文庫)
1951年2月10日初版発行
1977年3月16日第22刷改版発行
322頁
目次(収録作品)
停車場にて
日本文明の真髄
門づけ
旅日記から
阿弥陀寺の比丘尼
戦後に
春
趨勢一瞥
業の力
ある保守主義者
神々の黄昏
前世の観念
コレラの流行期に
祖先崇拝についての若干の考察
きみ子
解説(平井呈一)p.311-p.322
※第22刷改版から『小泉八雲作品集 第7巻』(恒文社)が本文の底本。『東の国から・心』小泉八雲(恒文社) と同じ。
わが国をおとずれた外国人の中で、ハーンほど日本を理解し、また愛した人はないだろう。『骨董』や『怪談』の淋しい美しさにもまして、この『心』はわれわれが、うかつに見逃している身のまわりのことから、思いがけない深遠な思索のいとぐちを教えてくれる。小説、随筆、論文の要素が渾然一体となっているハーンの代表作。
本書表紙(カバー)より
[筆者注]
平川祐弘が「ある保守主義者」の最後が誤訳であると指摘している。(『ハーンは何に救われたか』(平川祐弘決定版著作集15)(p.465)(勉誠社))
平井訳では、「船員の言ったことば」(p.201)をつぶやいたとなっているが、そうではない。
該当箇所の原文は、
(略)and the lips of the man murmured again, with sudden new-found meaning, the simple prayer of the child.
で、つぶやいた(ささやいた)のは「子供の頃に唱えた単純なあの祈りの言葉」である。
(「南無阿弥陀仏」かなにか)
[関連]
『心―日本の内面生活がこだまする暗示的諸編』小泉八雲、平川祐弘訳(河出書房新社)(新訳。収録作品は岩波文庫版と同じ)
『東の国から・心』小泉八雲(恒文社)
『日本の心』小泉八雲、平川祐弘編(講談社学術文庫)