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『無私の日本人』磯田道史(文春文庫)

『無私の日本人』磯田道史(いそだ・みちふみ)(文春文庫)

2015年6月10日初版発行
375頁




初出は、「文藝春秋」。
著者は、歴史学者。

磯田版「代表的日本人」と言ってよい書。

穀田屋十三郎、中根東里、大田垣蓮月の3人の人生を描いている。

穀田屋十三郎は、江戸中期の商人であり篤志家だった人物。仙台藩に1000両もの金を貸し、その利息で吉岡宿の貧窮を打開するという常識外れの試みを成し遂げた、その中心人物。

中根東里は、江戸中期の儒学者。天与の詩才と深い学識を持ちながら、名も知られず、下駄や草履を売って知的に生きたひと。

大田垣蓮月は、江戸後期の尼僧・歌人・陶芸家。美貌と多彩な才に恵まれたが、産んだ子を次々と亡くしたり、幸せな再婚を迎えたのに夫を亡くしたりと多くの不幸に見まわれた末、出家し強く生きた人。

上述の3人の人生を小説のように描写し、所々著者が解説するという構成で書かれている。
文章がぎこちないところやこの構成がこなれていない所が気になったが、内容はよい。

感動的な良書。おすすめ。

なお、穀田屋十三郎の話は「殿、利息でござる!」のタイトルで映画化されている。

[関連・参考]
『無私の日本人』磯田道史(2012・文藝春秋)単行本
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「國恩記」(本書「穀田屋十三郎」の話の原文。)

「殿、利息でござる!」(映画)監督:中村義洋(2016・松竹)
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