『メルロ=ポンティ・コレクション7 政治と弁証法』モーリス・メルロ=ポンティ、木田元編訳、海老坂武訳(みすず書房)全7巻
2002年
288頁
目次(収録作品)
マルクス主義と哲学(木田元訳)
悟性の危機(木田元訳)
「西欧」マルクス主義(木田元訳)
プラウダ(木田元訳)
行動としての弁証法(木田元訳)
哲学的回想(海老坂武訳)
「創造的否定の、破壊‐現実化の、試行ないし試練」であり、「多くの理論的・実践的企てを鼓吹しつづけ、成功にせよ失敗にせよ、あれほど多くの実験を可能にした実験室」となってきたマルクス主義。20世紀半ば、晩年のメルロ=ポンティが試みたのは、その世界史的経験を「政治哲学の領域において標定する」ことだった。
「哲学は歴史の召使いでもなく、主人でもない。……文字どおり、距離を隔てた働きかけ〔遠隔作用〕であり、両者はそれぞれの差異を土台にして、混合と混淆とを求めている。われわれはこの相互の蚕食作用の上手な利用法を、とりわけ一つの哲学をさらに学ばなければならないのである」。
「人びとがすでに考えつくしたと思い、それも十分に考えつくしたと思っていたすべてのもの——自由と権力、権力に対抗する市民、市民の英雄精神、自由主義的ヒューマニズム、形式的民主主義とこれを廃棄し現実化する実質的民主主義、革命的英雄精神と革命的ヒューマニズム——これらすべてが崩壊しつつある」。
「われわれはおそらく、歴史がもっと先に進む、あの数々の瞬間の一つに居合わせているのである。国内のさまざまな出来事や、対外政治のけたたましい事件によって、われわれの耳はつんざかれている。だが騒音の下に、一つの沈黙が、一つの期待が形づくられていく。なぜそれが、希望でないことがあろうか?」。本書は「マルクス主義と哲学」「悟性の危機」「『西欧』マルクス主義」「『プラウダ』」「行動としての弁証法」「哲学的回想」を収録。同時代と真摯に向き合った「共存の思想家」面目躍如たる歴史・政治哲学論集である。コレクション全7巻完結。
出典:みすず書房公式サイト