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『ロールズ哲学史講義』ジョン・ロールズ(みすず書房)

『ロールズ哲学史講義』ジョン・ロールズ、バーバラ・ハーマン編、坂部恵 監訳(みすず書房)全2巻
(原題『LECTURES ON THE HISTORY OF MORAL PHILOSOPHY』)

上巻

2005年
328頁
定価:5,060円(税込)

目次(収録作品)

編者の緒言

序論 近代哲学——1600年から1800年まで
第1節 古典道徳哲学と近代道徳哲学
第2節 ギリシアの道徳哲学の主要問題
第3節 近代道徳哲学の背景
第4節 近代道徳哲学の諸問題
第5節 宗教と科学の関係
第6節 科学と宗教に関するカントの見解
第7節 歴史的文献の研究について

ヒューム
ヒュームI  心理学化された道徳性、ならびに情念
第1節 背景——懐疑論と自然信仰主義
第2節 情念の分類
第3節 第2巻第3部第3節の梗概
第4節 (道徳外的)熟慮についてのヒュームの説明——公式見解

ヒュームII  合理的熟慮と理性の役割
第1節 ヒュームの公式見解をめぐる三つの問い
第2節 三つのさらなる心理学的原理
第3節 諸情念の体系を変容させるものとしての熟慮
第4節 善への一般的欲求
第5節 善への一般的欲求——情念であるか原則であるか

ヒュームIII  人為的徳としての正義
第1節 諸学の首都
第2節 ヒュームの問題の諸要素
第3節 正義と所有権の起源
第4節 正義の事情
第5節 コンヴェンションの観念
第6節 諸コンヴェンションの最善の機構としての正義
第7節 発展の二つの段階

ヒュームIV  理性主義的直観主義への批判
第1節 序論
第2節 クラークのおもな主張のいくつか
第3節 正と不正の内容
第4節 理性主義的直観主義の道徳心理学
第5節 ヒュームによる理性主義的直観主義批判
第6節 ヒュームの第二の議論——道徳性は論証可能ではない

ヒュームV  思慮ある観察者
第1節 序論
第2節 共感に関するヒュームの説明
第3節 第一の反論——思慮ある観察者という考え方
第4節 第二の反論——ぼろをまとった徳もなお徳である
第5節 道徳感情の認識論的役割
第6節 ヒュームには実践理性の概念があるか
第7節 『本性論』の最終節
付録 ヒュームによる『本性論』の否認

ライプニッツ
ライプニッツ I  その形而上学的完全性主義
第1節 序論
第2節 ライプニッツの形而上学的完全性主義
第3節 完全性という概念
第4節 ライプニッツにおける真理の主語内述語説
第5節 ライプニッツの真理観にたいするコメント

ライプニッツ II  態動実体としての魂——その自由
第1節 完璧な個体概念は活動力を含む
第2節 個別的理性的個体としての魂
第3節 真の自由
第4節 理性、判断、意志
第5節 実践的観点についてのノート

カント
カント I  『基礎づけ』——序文と第1章
第1節 導入のためのコメント
第2節 序文に関するいくつかの点——第11−13段落
第3節 純粋意志という理念
第4節 『基礎づけ』第1章のおもな議論
第5節 善意志の絶対的価値
第6節 理性の特別な目的
第7節 善意志の二つの役割
カント II  定言命法——第一の定式化
第1節 序論
第2節 理想的な道徳的行為者の特徴
第3節 CI手続き、四つのステップ
第4節 カントの第二の例——守るつもりのない約束
第5節 カントの第四の例——無関心という格率
第6節 与件への二つの約束
第7節 動機の構造

カント III  定言命法——第二の定式化
第1節 定式化相互の関係
第2節 第二の定式化の言明
第3節 正義という義務と徳という義務
第4節 人間性とは何か?
第5節 消極的解釈
第6節 積極的解釈
第7節 結論——『基礎づけ』第2章(46-47[427-429])への注解

カント IV  定言命法——第三の定式化
第1節 道徳法則へ足を踏み入れる
第2節 自立の定式化とその解釈
第3節 理性の至高性
第4節 目的の国
第5節 道徳法則を直観に近づける
第6節 アナロジーは何か?

「道徳哲学の歴史に関するロールズの思想の中心にあるもの、それは、わたしたちの伝統がもつ偉大なテキストのなかに、人生をいかに生きるべきかに関する多くの困難きわまりない諸問題に甘んじてかかわろうとする、偉大な知性たちの努力を見ることができる、という考え方である。」(「編者の緒言」より)

『正義論』によって現代の政治哲学に深甚な影響を与えたロールズ教授の、30年におよぶハーバード大学での道徳哲学をめぐる名講義をまとめた大冊である。

穏やかな情念と厳密な理性の連携が、合理的熟慮と人為的徳を導き、そこから生ずる道徳感覚は、人間本性に内在する自然な事実である、とするヒュームの心理学的自然主義。神が創造した最善の世界のもとで、自発的で個別的な理性的魂が、各々の内なる知性の自由を表現する、というライプニッツの形而上学的完全性主義。そして、理性の理念としての道徳法則に基づき、総合的かつア・プリオリな定言命法を定式化する、カントの純粋実践理性の批判へ。
『人間本性論』『道徳形而上学の基礎づけ』といった、道徳哲学の古典の詳細な読解をつうじて、道徳的構想が担う社会の公共的秩序と構造を探究する、ロールズ版哲学史の精髄。全2巻。

出典:みすず書房公式サイト



下巻

2005年
256頁
定価:4,840円(税込)

カント V  正しさの優位性と道徳法則の対象
第1節 序論
第2節 善についての六つの理解(前半三種)
第3節 善についての六つの理解(後半三種)
第4節 自律と他律
第5節 正しさの優位
第6節 真の人間的欲求についての注

カントVI  道徳的構成主義
第1節 合理的直観主義——最後の一瞥
第2節 カントの道徳的構成主義
第3節 構成主義的手続き
第4節 考察と異論
第5節 客観性についての二つの理解
第6節 定言命法——どのようにして総合的かつア・プリオリなのか?

カント VII  理性の事実
第1節 序論
第2節 理性の事実についての最初のパッセージ
第3節 第二のパッセージ——〔『実践理性批判』〕分析論第1章第5〜8節
第4節 第三のパッセージ——〔『実践理性批判』〕分析論第1章への付論I、第8〜15段落
第5節 カントが道徳法則の演繹を断念しえた理由
第6節 道徳法則はどのような種類の認証をもちうるか?
第7節 理性の事実についての第五、六のパッセージ
第8節 結論

カントVIII  自由の法則としての道徳法則
第1節 構成主義と適正な反省とについての結論的考察
第2節 二つの観点
第3節 ライプニッツの自由論へのカントの反論
第4節 絶対的自発性
第5節 自由の法則としての道徳法則
第6節 自由についての諸見解
第7節 結論

カント IX  『宗教論』第一編の道徳的心理学
第1節 三つの素質
第2節 自由な選択意志
第3節 悪の起源の合理的な表象
第4節 マニ教的な道徳心理学
第5節 わたしたちの人格の内なる道徳的動機づけの複数の根

カント X  理性の統一性
第1節 実践的観点
第2節 道徳法則の対象としての諸目的の国
第3節 道徳法則の対象としての最高善
第4節 理性信仰の諸要請
第5節 理性的信仰の内実
第6節 理性の統一性

ヘーゲル
ヘーゲル I  ヘーゲルの『法哲学綱要』
第1節 序論
第2節 和解としての哲学
第3節 自由な意志
第4節 私的所有
第5節 市民社会

ヘーゲル II  人倫とリベラリズム
第1節 人倫——義務の説明
第2節 人倫——国家
第3節 人倫——戦争と平和
第4節 第三の選択
第5節 リベラリズムの批判者としてのヘーゲルの遺産

付録 講義の概略——道徳哲学の諸問題
『ロールズ哲学史講義』を読むために——「訳者解説」に代えて

「自由の要請はいっそう根本的なものである。それはわたしたちの理性が自然の秩序から独立であることを、またしたがって純粋理性の自発性を、前提することだからである。そのようなものとして、自由の要請は、自己の行為にたいして責任能力と弁明能力があると見なされるわたしたちの存在の基盤なのである。」(「カント VIII」より)

ロールズ教授によるハーバード大学名講義の下巻は、カント講義の後半から、終章のヘーゲル講義にいたる。

真なる前提と正しい推論によって妥当するカントの道徳的構成主義。わたしたちの思考と判断の最高権威である道徳法則。そして、絶対的に自発的である純粋実践理性による自由の理念。こうしてカントの道徳的構想は、自由で平等な人格としての全員による貴族制を望見する。

いっぽうヘーゲルにとって、諸個人は独力では自由でありえない。家族、市民社会、国家という合理的な社会的諸制度が、公民の自由を可能にし、そして実現する。ここから道徳哲学をめぐるロールズの議論は、ヘーゲルにおける人倫とリベラリズム、理性の狡知と精神へ移行していく。

『実践理性批判』や『宗教論』、『法哲学綱要』をおもなテキストに、自由な個人から社会契約へ、そして国家論へと展開していく、ロールズ版哲学史のクライマックス。

出典:みすず書房公式サイト

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