『地球日本史3 江戸時代が可能にした明治維新』西尾幹二編(扶桑社文庫)
2001年4月30日第1刷発行
461頁
定価:712円(税込)
目次(収録作品)
1 江戸時代が可能にした明治維新 西尾幹二
2 武士道とデモクラシー 笠谷和比古
3 『海国図志』の日中韓の読み方の違い 源了圓
4 幕末に「万国公法」を使いこなした 松本健一
5 イギリスから見た薩摩藩 宮澤眞一
6 フランスはなぜ落日の幕府に肩入れしたのか 鳴岩宗三
7 アメリカの南北戦争と明治維新 佐伯彰一
8 朝鮮はなぜ眠り続けたか 呉善花
9 清国はなぜ眠り続けたか 黄文雄
10 漢学から英学へ 平川祐弘
11 水戸学の近代性 小堀桂一郎
12 明治維新とは何だったか 坂本多加雄
13 復古と維新―五箇条の御誓文 長谷川三千子
14 西洋の先を見ていた教育改革 西尾幹二
15 市民となった武士 坂本多加雄
16 北の国境画定 木村汎
17 南の国境画定 田久保忠衛
18 欧米の正体を見抜いた岩倉使節団 芳賀徹
19 西郷隆盛の位置 濤川栄太
20 西洋より早い所有と経営の分離 川勝平太
21 君臣一体を説いた自由民権運動 坂本多加雄
22 朝鮮人の自己誤解 藤岡信勝
23 明治文明が作った現代中国 岡田英弘
本書は、産経新聞に連載された「はじめて書かれる 地球日本史」を一書にまとめたもの。
興味深い論説が収録されていて、なかなかおすすめ。特に、西尾幹二と坂本多加雄の論説がよい。
一点、指摘したい。「16 北の国境画定」は、北方領土についての論説だが、ヤルタ協定はそもそも法的根拠がないこと、また、サンフランシスコ講和条約で米国もヤルタ協定を認めていないことを書いていないのは、いけない。
[筆者注]
(p.142)
「はるか極東の島国にまで、はるばる太平洋経由で、ペリー提督指揮のもと、遠征艦隊を派遣しようといった大計画が」
これは誤認だろう。ペリー艦隊は、大西洋を渡りアフリカの西海岸を回って、インド洋を渡る航路をとった。
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『地球日本史3 江戸時代が可能にした明治維新』西尾幹二編(1999・扶桑社)単行本
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