1986年
210頁
目次(収録作品)
1 1枚の写真から
2 ウソ報道写真
3 一人歩きする写真
4 映像のカラクリ
5 映像は証拠になりうるか
6 映像ジャーナリズムの裏側
著者は、共同通信社のカメラマン。
書名に「映像」とあるが主として加工写真による印象操作やプロパガンダを具体例をあげ論じた本。
テレビのやらせについて(4章)やマスコミ取材の問題点(6章)も述べている。
日航機墜落事故の時の、日航社長が頭を下げる有名な写真のほんとうのところ(著者はその現場を取材している)、
「チャンドラ・ボースを日本軍がかつぎ出すための[筆者注:雑誌『FRONT』の]『インド特別号』では、当時日本にはインド人女性がいなかったので女優の原節子にサリーを着せ、インド人女性に仕立て上げたりもした。(略)」(p.44)、
新聞に載った8月15日の皇居前広場での土下座写真が合成だったという事例などは興味深かった。写真も多く収められていて、よい。著者の取材の体験談も(それほど多くは書かれていないが)中々よかった。
(ただ、はっきりとは言っていないが、所々、行間から著者の(東京裁判史観的な)偏った見方を感じた。)
古い本だが、メディアリテラシー、情報リテラシーを学ぶにもよい、中々おすすめの本。