『日本写真史』(上下)鳥原学(中公新書)
『日本写真史(上)幕末維新から高度成長期まで』
2013年
230頁
目次(収録作品)
第1章 メディアのなかへ―大正期~第二次世界大戦(アマチュア写真家と写壇の成立/ドイツからの衝撃/報道と宣伝―戦争の時代のなかで)
第2章 敗戦・戦後の風景ー1945年~59年(焼け跡に立った写真家/報道写真の再起/写真のヌーベルヴァーグ)
第3章 高度成長と国際化の自写像―1960~74年(ナショナル・アイデンティティの再構築/原点と自立への志向/私生活の描写とアートとしての自律)
19世紀半ば、日本へ輸入された写真。日露戦争を経て新聞・出版メディアが拡大するなか報道写真が成長。第二次世界大戦時にはプロパガンダに利用され、また敗戦直後には「マッカーサーと天皇」の写真のように、社会に大きな影響力を持つようになった。戦後は戦禍や公害問題を追及するリアリズム写真が隆盛を誇ったが、経済成長とともに私的テーマ、広告へと多彩化する。本書は1974年まで120年に及ぶ歴史を描く。
出典:中央公論新社公式サイト
『日本写真史(下)安定成長期から3・11後まで』
2013年
216頁
第4章 消費社会のイメージ―1975~89年(ヴィジュアル雑誌の時代/スキャンダリズム/写真美術館の誕生―記憶・規制)
第5章 表現の多様化と再発見―1990~2010年代(縮小する世界のなかで/女性と写真―変わり続ける関係/デジタル化の波―都市・郊外からネットへ)
終章 日本写真のグローバル評価(「日本」の写真という問いかけ/3・11を超えてー再び写真と現実との関係)
1970年代半ば、消費社会が爛熟するなか『an・an』を筆頭にヴィジュアル雑誌が次々と創刊。新しい写真家たちが陸続と登場する。さらに『写楽』『写真時代』『FOCUS』の売り上げ拡大によって、写真は黄金時代を迎え、宮沢りえのヌード写真集は社会現象ともなった。他方で、90年代半ば以降のデジタル写真の普及は、150年に及ぶ写真史を一新する。本書は1975年以降の写真黄金期とデジタルの衝撃の歴史を描く。
出典:中央公論新社公式サイト