『善悪の彼岸 道徳の系譜 ニーチェ全集11』フリードリッヒ・ニーチェ、信太正三訳(ちくま学芸文庫)(全15巻+別巻4)
1993年
658頁
目次(収録作品)
善悪の彼岸(哲学者の先入見について/自由なる精神/宗教的なるもの/箴言と間奏曲/道徳の博物学について/われわれ学者たち/われわれの徳/民族と祖国/高貴とは何か/高峰より)
道徳の系譜(「善と悪」、「よい〈優良〉とわるい〈劣悪〉」/〈負い目〉、〈良心の疚しさ〉、およびその類いのことども/禁欲主義的理想は何を意味するか?)
大きな期待をもって世に送りだした『ツァラトゥストラ』の不評に心を痛めるニーチェ。『善悪の彼岸』は誤解と歪曲から自己の思想を救う意図をこめて、その一種の注釈書として著わされた。本書では、19世紀ヨーロッパの道徳と宗教の価値が厳しく問われ、いわゆる〈客観性〉〈歴史的感覚〉〈科学性〉〈同情〉という近代的信仰の対象物が鋭い批判のメスで解剖されている。ニーチェの哲学の円熟期を代表する重要な著作の一つである『善悪の彼岸』、その終楽章ともいうべき『道徳の系譜』の二作品を収録する。
出典:筑摩書房公式サイト