2009年
304頁
目次(収録作品)
プロローグ 東北へ/東北から
1 歴史を笑え、と幼い詩人に祖父は教えた
2 サイの河原に、早池峰を仰ぐ児らがいた
3 ナマハゲの鬼は男鹿の山から来た、という
4 日時計の向こうに、縄文の夕陽が沈んだ
5 大同二年に、窟の奥で悪路王は死んだ
6 その晩、鮭の大助は月光川をのぼる
7 山に生かされた者らよ、と石の環が囁く
8 鉱山で、山の神の代官たちが福音を説いた
9 ネブタ囃しに、遠く異族の血が燃えて騒ぐ
10 不意に、埋もれた記憶が黄昏の底に甦る
11 北からの呼び声に、いま岩谷の扉が開かれる
12 箕を携えた姫が、大同の庭に降り立った
13 さらば芭蕉、と囁きかける川風を聴いた
14 雪の野づらに、木地屋の夢が紡がれる
15 たちのぼる煙の下に、山の人生が転がっていた
16 なめとこ山の夜、熊たちの祭りがはじまる
断章 呟きの声、とりあえずの終わりに
エピローグ あすの東北学のために
南/北の種族=文化が相交わる境としての東北。いまだ自らの歴史や文化の核たるものが語られていない東北。稲作中心史観に養われた南からのまなざしを斥けたとき、そこには縄文的なものと弥生的なものが重層的に織りなされ北方へとつながる深い相貌が見えてくる。柳田民俗学の限界を乗り越えて「いくつもの日本」を発見するための方法的出発の書。
出典:講談社BOOK俱楽部
本書は、『東北学へ1 もうひとつの東北から』を改題して文庫化したもの。
[関連]
『東北学へ1 もうひとつの東北から』赤坂憲雄(1996・作品社)単行本
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