『山本七平の思想―日本教と天皇制の70年』東谷暁(講談社現代新書)
2017年
288頁
目次(収録作品)
プロローグ 七平とは何者なのか
第1章 社会現象としての『日本人とユダヤ人』―謎のユダヤ人イザヤ・ベンダサンが、見えない宗教「日本教」を発見した衝撃
第2章 「三代目キリスト教徒」の異常体験―日本社会のなかの「異教徒」として過ごした、山本七平の幼少年期の秘密にせまる
第3章 『私の中の日本軍』と果てしない論争―フィリピンのジャングルの中で、絶望的な戦いを強いられた七平は何を手にしたのか
第4章 名著『「空気」の研究』はいかにして生まれたか―日本人を支配してやまない「空気」。その本当の恐ろしさを七平自身の言葉から読む
第5章 山本書店店主と『日本資本主義の精神』―鋭く日本社会を分析した七平の目は、戦後日本の繁栄とその急速な没落を見抜いていた
第6章 二十年かけた『現人神の創作者たち』―戦時中、若者たちの血を要求した「現人神」の謎を、孤独な探究が解き明かしていた
第7章 戦後社会と『昭和天皇の研究』―戦前・戦中の昭和天皇の「おことば」を分析し、近代日本と立憲君主制の本質を洞察
第8章 『禁忌の聖書学』と日本人―七平が心に秘めたキリストへの信仰と、日本繁栄への思いは根底でつながっていた
エピローグ―七平が洞察した「未来」の日本
『日本人とユダヤ人』『「空気」の研究』等多くの作品で、日本社会と国民性の本質を鋭く指摘し続けた評論家の山本七平。七平が提示した「日本教」の正体、またなぜ「空気」は日本全体を覆うのかという問い、天皇制への考え方などは、現代の日本が抱える諸問題や停滞の原因を解明し脱却するための良い手引きとなる。山本七平の思想は、今まさに読まれるべき内容なのである。再注目される碩学の叡智を徹底分析する画期的試み。
出典:講談社BOOK俱楽部