『アンベードカルの生涯』ダナンジャイ・キール、山際素男訳(光文社新書)
2005年
348頁
定価:1,000円(税別)
目次(収録作品)
第一章 二五〇〇年
第二章 幼年、青年時代
第三章 自立
第四章 時の人
第五章 奴隷制に抗して
第六章 独立宣言
第七章 輝ける星
第八章 土地、労働、教育
第九章 世界世論の審判
第十章 ガンジーとの闘い
第十一章 休戦
第十二章 現実
第十三章 青天の霹靂
第十四章 ヒンズーイズムの断罪
第十五章 新政党の誕生
第十六章 労働者のリーダー
第十七章 連邦制度とパキスタン
第十八章 泥小屋から栄光の座へ
第十九章 労働大臣として
第二十章 制憲議会
第二十一章 現代のマヌ
第二十二章 仏教への傾斜
第二十三章 再び野に下る
第二十四章 飽くなき批判
第二十五章 仏教の復活
第二十六章 最後の旅
ガンジーに鋭く迫った。
「私には祖国がありません」
不可触民解放の父の全貌「もし私が、私がそこに生れ育った階級が呻吟する、忌わしい奴隷制と非人間的不正をやっつけることができなかったら、頭に弾丸をぶちこんで死んでみせる」
この国、いや外国においてすら、アンベードカルほど波瀾に富み、刺激的でロマンチックな人間は稀であろう。牛糞にまみれた不可触民の子として生れ、不治の病のように忌み嫌われた少年時代を送り、床屋、宿屋、寄宿舎、車、寺院、役所といった社会の総てから疎外され、飲水、食物すら拒否される人生を歩まされ、やがて世界的最高学府で学位を取りながら、その一歩一歩を徒手空拳、血と汗を流し一つ一つ取ってゆかねばならなかった。
六五歳という短い生涯の中で、これほどまで多才な目覚ましい働きと学識を誇り得たということは、現代社会では恐らく類のない出来事であろう。出典:光文社公式サイト