『ウイグル大虐殺からの生還―再教育収容所 地獄の2年間』グルバハール・ハイティワジ、 ロゼン・モルガ、岩澤雅利訳(河出書房新社)
2021年
264頁
中国政府によるウイグル人への抑圧が国際的な非難を浴びている。実際に強制収容所に入れられて2年半を生き延びた女性が、自らの壮絶な体験を克明に明かす。そこでは何が行われているのか?
ウイグルで何が起こっているのか?
私が体験した恐るべき収容所のすべて!
中国はウイグル人を消滅させようとしている!ここでは、ゆっくりと絶滅させるシステムが動いている!
私の周りでは何人もの人が消えた。
もう自分が何者かわからなくなっている……
2016年11月、私は住んでいたパリから電話でウイグルに呼び戻された。
9分間の裁判で私は留置場に送られ、翌年、再教育収容所に移送された。長時間の取り調べ、拷問、暴行、監視、洗脳、不妊注射……無実の罪を着せられ、個性を奪われ、時間の感覚を奪われ、記憶と生きる意欲を奪われ、死刑の恐怖におびえる日々。
逮捕者を再教育収容所で過ごさせる期間は弁護士のいない裁判で決定されるが、裁判の時期は当局の都合に任されている。本書の著者が裁判を受けたのは再教育収容所に入ってから1年半後だった。中国側が主張する「職業教育」に該当するものが行われている形跡はなく、共産党のプロパガンダをひたすら暗記させることが再教育の内実のようだ。そうした単調な日々を長引かせて収容者から思考力を奪い、警察官による取り調べで刑期の短縮をほのめかせて屈服させるという手法が、著者の体験から見えてくる。
出典:河出書房新社公式サイト