2003年
281頁
目次(収録作品)
1 現代哲学へのインパクト──フレーゲの再発見
2 フレーゲの業績概略──その哲学史的・論理学史的位置づけ
2・1 フレーゲの歩みに即して
2・2 フレーゲ哲学の構成と方法
2・3 哲学の基本的問題における革新
3 フレーゲ小伝
4 故郷・家族・少年時代
4・1 ハンザ都市ヴィスマール
4・2 フレーゲの家系
4・3 フレーゲのギムナジウム時代
5 修業時代──イエーナとゲッティンゲン
5・1 イエーナ大学
5・2 イエーナ大学監督官の影響力
5・3 イエーナでの学生時代
5・4 シェファーと数学協会
5・5 フレーゲの学生時代とアッベ
5・6 ゲッティンゲン時代と博士号取得
6 イエーナ大学私講師時代
6・1 教授資格請求論文
6・2 私講師就任
7 論理学の革命
7・1 フレーゲの講義評価
7・2 数学から論理学へ
7・3 『概念記法』(一八七九)の概要
7・4 反響と反批判
7・5 員外教授招聘
7・6 アッベとツァイス財団
7・7 アッベの「科学のための政府助成金」とフレーゲ
7・8 フレーゲの家庭生活──母の同居、結婚、母の死去
8 フレーゲの数学・論理学講義(一八七九~一八八四)
9 『算術の基礎』──論理主義のプログラム提示
9・1 『算術の基礎』の狙い
9・2 幾何学と算術──直観と一般性
9・3 『算術の基礎』における算術の哲学
10 学問的頂点──『算術の基本法則』I(一八九三)公刊
10・1 フレーゲの論理思想
10・2 算術の哲学A(基数論)
10・3 算術の哲学B(実数論)(『基本法則』II(一九〇三))
11 論理と言語の哲学
11・1 いわゆる「哲学諸論文」の主題
11・2 言語批判と言語への転回
11・3 フレーゲの論理学理解
11・4 真理論
11・5 真理と意味(Bedeutung)
11・6 本来的思想と虚構
11・7 意義と思想
11・8 意義──認識的位相から
12 フレーゲの危機
12・1 財団教授:客員正教授への招聘
12・2 パラドクス──破綻のドラマ
12・3 家庭的不幸──フレーゲ夫人の逝去(一九〇四)
13 形式主義論争
13・1 フレーゲとトーメ
13・2 『算術の基本法則』Ⅱ(一九〇三)──ゲームと応用可能性
13・3 ヴィトゲンシュタイン、ヴァイスマン、レーヴェンハイム
14 同僚の評価と往復書簡
14・1 イエーナでの評価
14・2 『書簡』を通して
15 フレーゲの講義風景──学生たちの回想
15・1 カルナップの回想
15・2 ショーレムの回想
16 晩年のフレーゲ
16・1 日常点描
16・2 晩年のフレーゲとヴィトゲンシュタイン
17 フレーゲと政治・宗教
17・1 イエーナでの政治参加
17・2 最晩年の日記から
18 現代哲学への影響と論争点いくつか
ゴットロープ・フレーゲは名のみ高く読まれることの少ない論理学者・哲学者である。フレーゲは19世紀から20世紀への変り目に、アリストテレス以来の論理学を革新し、新しく現代論理学を創始した人。同時代の論理学者・数学者の多くからは無視されたが、少数の俊英に大きな影響を与えた。例えばペアノ、カントール、ラッセル、カルナップ、ヴィトゲンシュタインら。そして彼らが20世紀の学界を領導するにつれて、フレーゲに改めて光が当たり始めた。 本書は近年進展しているフレーゲの伝記的研究を踏まえ、生涯と業績を解説したものである。
出典:勁草書房公式サイト