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『はるかなる視線』レヴィ=ストロース(みすず書房)

『はるかなる視線』(全2巻)クロード・レヴィ=ストロース、三保元訳(みすず書房)

『はるかなる視線1』

新装版2006年
224頁
定価:3,080円(税込)

目次(収録作品)

まえがき

生得性と獲得性
第1章 人種と文化
第2章 民族学者と人間の条件

家族・結婚・親族関係
第3章 家族
第4章 オーストラリアの〈親族原子〉
第5章 おちこちに読む
第6章 近親等者の婚姻

環境と表象
第7章 構造主義と生態学
第8章 構造主義と経験主義

「本書は民族学の主要テーマをほとんどすべて網羅し、民族学小論、あるいは民族学入門の体裁をとることになった。民族学的アプローチの、私にとっての本質と独創性を示す題を選ぶことで、本書の特徴は強調されている」(著者)

〈はるかなる視線〉は、もっとも非西欧的社会へと向けられる。しかしその視線は同時に人間のもっとも普遍的なテーマ——拘束と自由の関連に、われわれを導く。
制度・語法・神話・儀礼・信仰は、社会によって異なる。しかしその考察は、社会的拘束が創造を誘い出す点において、自由と拘束は対立しているのではなく支え合っていることを具体的に示す。しかもそれが人間一般の普遍的な問題として、見えてくるのである。
著者の50年にわたる教職生活を去るに当たって編まれたエッセイ集であり、レヴィ=ストロース世界のポリフォニーである。さらに、知的営為が現代の病患あるいは幻想を治癒または払拭する企図でもありうるという、もっとも力強い情熱の所産である。

出典:みすず書房公式サイト


『はるかなる視線2』

新装版2006年
280頁
定価:3,520円(税込)

環境と表象
第9章 言語学の教訓
第10章 宗教・言語・歴史――フェルディナン・ド・ソシュールの未完原稿をめぐって
第11章 神話の可能性から社会的実存へ

信仰・神話・儀式
第12章 宇宙性(コスモポリタニズム)と分裂病
第13章 神話と失念
第14章 アメリカのピタゴラス
第15章 双生児出産の解剖学的予示
第16章 神話=文学のある小さな謎
第17章 クレティアン・ド・トロワからリヒアルト・ワーグナーへ・三部作についての覚書き

拘束と自由
第18章 ある瞑想的画法
第19章 ある若き画家へ
第20章 ニューヨーク・あと追いと予示の町
第21章 創造的児童あと追いの記
第22章 自由についての考察

訳者あとがき
索引・参考文献

見物席から見るところの我が風姿は、離見で見た自分である。そして、自己の眼で見るところの自己の姿は、それは我見であって、決して離見で見た自分ではない。離見の見方で見る時には、見物人と同じ心になって見るわけであって、かくする時には、自己の姿というものを完全に見極めることができる。——世阿弥『花鏡』より

「はるかなる視線」とは、この世阿弥の〈離見の見〉に触発されたタイトルである。文化人類学とは、観察者のネイティブな文化とは異なった文化の研究であるが、同時に、みずからの文化への反省である。レヴィ=ストロースにとっては、カルテジアン文化の深化の試みでもあるのだ。
著者は多様な題材をとおしてそれを提示してみせる。ワーグナーの「パルジファル」、マックス・エルンストの画法、アポリネールの詩「イヌサフラン」、現代の英才児教育、40年前のニューヨークの骨董屋歩き等々である。そしてそれらはすべて“一本の糸でつながっている”のである。
『神話論理』以後の新しい視座と可能性を示した本書は、たえず前進しつづける著者の学問への態度によって、われわれに新鮮な感銘をあたえる。

出典:みすず書房公式サイト

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