『行為と合理性』(ジャン・ニコ講義セレクション 3)ジョン・R・サール、塩野直之訳(勁草書房)
2008年
359頁
目次(収録作品)
第一章 合理性の古典モデルとその欠点
1 合理性の問題
2 合理性の古典モデル
第二章 志向性、行為および意味の基本構造
第三章 時間と自我の飛躍
1 飛躍を広げる
2 飛躍の存在の論証
3 因果と飛躍
4 経験上の飛躍、論理的な飛躍、不可避な飛躍
5 飛躍から自我へ
6 自我についてのヒュームの懐疑論
7 還元不可能で非ヒューム的な自我の存在の論証
8 還元不可能で非ヒューム的な自我の存在の論証の要約
9 経験と自我
10 結論
第四章 理由の論理構造
1 理由とは何か
2 志向的現象の説明に固有の諸特徴
3 行為への理由と、理由の総体
4 実在世界における意思決定
5 理由の総体を組み立てる――古典モデルのテスト事例
6 行為への理由とは何か
第五章 実践理性に固有の諸特徴――論理的要求としての強い利他性
1 行為への理由
2 合理的な動物を組み立てる
3 ケモノの利己性と利他性
4 言語の普遍性と強い利他性
5 結論
第六章 行為への理由で欲求に依存しないものは、いかにして創り出されるか
1 確約の基本構造
2 動機づけと適合の向き
3 動機の問題に対するカントの解決
4 特殊事例としての約束
5 この説の一般化――欲求に依存しない理由の社会的役割
6 まとめと結論
第六章への付論――内在的および外在的な理由
第七章 意志の弱さ
第八章 実践理性の演繹的論理学はなぜ存在しないのか
1 実践理性の論理学
2 実践理性の三つのパターン
3 欲求の構造
4 欲求と信念の相違の説明
5 意図の固有な特徴
6 「目的を意志する者は手段を意志する」
7 結論
第九章 意識、自由な行為、脳
1 意識と脳
2 意識と自発的行為
3 自由意志
4 仮説1――心理的自由意志論と神経生物学的決定論の組み合わせ
5 仮説2――システム因果、意識および非決定論の組み合わせ
哲学では伝統的に、合理的な行為は欲求によって因果的に引き起こされるものだという強固な観念が前提されてきた。この前提を否定し、1.行為は必ずしも欲求に基づいて行われる必要はなく、2.心の状態と行為の問にはある種の「飛躍」があることを、自身の言語行為論や志向性の理論を織り込みつつ平易に論じた、サール哲学の真骨頂!
出典:勁草書房公式サイト