『正義の論理―公共的価値の規範的社会理論』(数理社会学シリーズ4)土場学・ 盛山和夫編(勁草書房)
2006年
253頁
定価:3,630円(税込)
目次(収録作品)
序章 現代正義論の構図[盛山和夫]
0.1 なぜ「正義」なのか
0.2 個人と個人を超えるもの
0.3 平等論
0.4 文化多元主義
0.5 「正義論」の課題
第1章 <自由>の論理――自由の社会学理論の構築へ向けて[土場学]
1.1 はじめに
1.2 自由とは何か:What is Freedom?
1.3 自由にはなぜ価値があるのか:Why is freedom valuable?
1.4 自由はいかにして可能か:How is freedom possible?
1.5 おわりに:ふたたび、自由とは何か
第2章 <効用>の論理――ハーサニ型効用総和主義の失敗[三谷武司]
2.1 効用総和主義とは何か
2.2 フォン・ノイマン-モルゲンシュテルン効用関数
2.3 ハーサニ型効用総和主義の検討
2.4 結論
第3章 <平等>の論理――リベラリズムとの関係を軸にして[瀧川裕貴]
3.1 厚生の平等と資源の平等
3.2 ドゥオーキンの資源平等論
3.3 センの潜在能力の平等論
3.4 結論
第4章 <公平>の論理――誰をどのように含めるのか[斎藤友里子]
4.1 公平概念の曖昧さ
4.2 規範理論と公平概念
4.3 規範理論の構造
4.4 公平評価の経験理論
4.5 同一条件同一処遇としての公平:その形式的特性
4.6 「不公平」とされるもの
第5章 <自生的秩序>の論理――ゲーム理論と正義[石原英樹]
5.1 はじめに
5.2 自生的秩序のさまざまな論理
5.3 相互扶助を語る自生的秩序――1990年代の進化ゲーム理論
5.4 権力を語る自生的秩序――チキン・ゲーム実験が示すもの
第6章 <民主的決定>の論理――判断モデルにもとづく認識的ポピュリズム[富山慶典]
6.1 民主的決定ルールの正当化
6.2 ライカーのポピュリズム批判
6.3 ライカーの批判論にたいするポピュリストからの反論
6.4 ルソーの一般意志とコンドルセの陪審定理
6.5 認識的ポピュリズムの可能性と限界
第7章 <自己決定/ケア>の論理──中絶の自由と公私の区分[山根純佳]
7.1 自己決定と生命倫理
7.2 胎児の権利
7.3 「権利」と非介入の原則
7.4 「ケアの倫理」と中絶の決定
7.5 宗教的寛容論と中絶
7.6 道徳的能力と自己決定権
第8章 <福祉>の論理──何のための社会保障制度か[盛山和夫]
8.1 包括的な社会保障としての「福祉」
8.2 マルクス主義と社会民主主義
8.3 財の平等主義
8.4 自由
8.5 助け合いと社会の品格
終章 正義・不正義・反正義──現代正義論と公共社会学の可能性[土場学]
社会は、共同性を志向する人々の公共的価値として存在している。さまざまな規範的理論を、普遍的に語る「公共社会学」の可能性。本巻は応用編。<社会>についての規範的な構想を「正義」という理念のもとに表象する。すべての人に理解できるような普遍的な言語・論理によって社会学の知を公共的なものにする試み。
出典:勁草書房公式サイト