『神谷美恵子コレクション 遍歴』神谷美恵子(みすず書房)シリーズ全5冊
2005年
365頁
目次(収録作品)
1 スイスものがたり
序章/スイスへ行く前のこと/スイスへ/ジュネーヴの家/新渡戸稲造先生/寺子屋学校/ルソーのこと/スイスの山で/国際学校/デュプイ先生/成績表について/母のこと/終章
2 帰国
言葉の問題/「考えること」事始め/らいとの出会い/療養の日々/一冊の本/再び治って
3 ペンドル・ヒル学寮の話
ペンドル・ヒルへ行くまで/ペンドル・ヒル学寮/アナ・プリントンとその夫君/マサとの出会い/踏切番のおじいさん/四つの眼/ヴィルヘルム・ゾルマンとナチ/ゾルマン氏との別れ/キャロライン・グレイヴスン/神秘体験をめぐって/キャロラインとの別れと再開/ガールズ・クラブの人びと/ドラ・ウィルスン/日本人の二人ぐらし/ペンドル・ヒルの春/医学志向への復帰/パリ行き/ペンドル・ヒル以後
4 現実の荒波の中で
東大入局と終戦と文部省経験と/愛生園見学の記/文部省日記/新しい生活/関西へ/愛真聖書学園/子どもの病気/フランス語塾経営/名無しの会/カナディアン・アカデミー/女子大とらい園にて
「あとがき」にかえて 神谷宣郎
妹への手紙
解説:森まゆみ
「どのようにもののみかた、考えかたが変ってきたか、これこそ心をもつ人間の歴史といえるものではないかと思う。……だからこれから書くのは自叙伝というよりは、ちっぽけな頭で感じたり、考えたりしてきたことの断章である」。
本書は、間近にせまる死を予感しつつ、みずからの生のあしあとをたどった、著者の絶筆である。
控えめな、抑制された文章からは、ひとがひとり生きぬくことの重さが静かに伝わってくる。著者は本書の刊行をみることなく、1979年10月22日、65歳の生涯を閉じた。新資料「妹への手紙」を収める。
出典:みすず書房公式サイト