『平等とは何か』ロナルド・ドゥオーキン、小林公・大江洋・高橋秀治・高橋文彦訳(木鐸社)
2002年
634頁
著者が1981~1999年にかけて発表した14篇の論文からなり,現代社会が解決を迫られている「平等問題」について,著者の一般的な平等理論とその具体的な適用が体系的に展開されている。平等論の根本問題は「分配的正義」の脈絡上,人々の「何を」平等にすることかという問題である。ドゥウォーキンの考える「資源の平等」論が他の諸理論との比較・批判的検討によって,最適であることが提示され(Ⅰ部),Ⅱ部では福祉プログラム,選挙資金制限,積極的差別是正措置等具体的問題をめぐり,考察する。
出典:木鐸社公式サイト
目次(収録作品)
序 なぜ平等は重要なのか
第Ⅰ部 理論篇
第1章 権利の平等
1. 2つの平等論
2. 最初の考察
3. 福利の平等の諸観念
4. 成功理論
5. 喜びの平等
6. 客観的な福利理論
7. 統合論への示唆
8. 高価な嗜好
9. 身体障害
10. 福利主義
第2章 資源の平等
1. 競売
2. 考察すべき課題
3. 運と保険
4. 労働と賃金
5. 不完全就業と保険
6. 掛金としての税金
7. 他の正義理論
第3章 自由の地位
1. 緒論:自由と平等
2. 2つの戦略
3. 自由を競売にかけることができるか
4. 抽象化の原理
5. 他の諸原理
6. 現実世界への帰還
7. 自由と不正
8. 回顧
第4章 政治的平等
1. 民主主義のための2つの戦略
2. 権力の平等とは何か
3. 参加上の価値
4. 分配上の価値
5. 立憲主義と原理
6. 結語
第5章 リベラルな共同体
1. 共同体と民主主義
2. 共同体と配慮
3. 自己利益と共同体
4. 共同体との統合
5. リベラルな共同体
第7章 平等と潜在能力
1. 2つの異論
2. 偶然と選択
3. 中毒者と我々
4. 人間と運
5. 平等と潜在能力
第Ⅱ部 実践篇
第8章 正義と高いヘルスケア費
第9章 正義・保険・運
1. 序論:正義にとって厳しい時代
2. 戦略的問題
3. 保守派の議論
4. おなじみの非連続的な解答
5. 仮想保険事業計画
6. くじ運
7. 運・社会階層・世代
第10章 言論の自由・政治・民主主義の諸次元
1. 序
2. 提案された改革
3. 民主主義とは何か
4. 民主主義と自由な言論
5. 法の記録
6. 真理に向けての議論
7. 提案の再考
8. 結論
第11章 積極的差別是正措置は成功しているか
第12章 積極的差別是正措置は公正か
第13章 神を演じる:遺伝子・クローン・運
1. 初めに
2. 診断と予後
3. クローンと遺伝子工学
4. 後記:倫理的個人主義のインパクト