『北方の博士J.G.ハーマン―近代合理主義批判の先駆』アイザィア・バーリン、奥波一秀訳(みすず書房)
1996年
206頁
定価:3,630円(税込)
目次(収録作品)
1 序説
2 生涯
3 核心
4 啓蒙
5 認識
6 言語
7 創造的天才
8 政治
9 結論
18世紀を生きたドイツの思想家J.C.ハーマン。当時の啓蒙思想、あらゆる合理主義に頑なに抵抗した彼を、ヘルダーは師と仰ぎ、キルケゴールは尊敬してやまなかった。〈近代〉のアンチテーゼとして君臨しながら、日本ではほとんど知られていない巨人の生涯と思想を、ここに明かす。しかもバーリンの手によって。
『自由論』をはじめ、合理主義と非合理主義の相克のなかでヨーロッパ近代を解読してきた著者は、若き日からハーマン研究に打ち込み、自らの思想の源泉としてきた。ハーマンの言語論や人間の認識のあり方や科学批判を分析し、その影響力を同時代から20世紀まで辿った本書は、現代を生きる希有の思想史家の核心をしるすとともに、ゲーテ、カントと同時代を生きながら歴に葬り去られてきた〈北方の博士〉の可能性と限界をしめすであろう。出典:みすず書房公式サイト