『ベーシック・インカムの哲学―すべての人にリアルな自由を』フィリップ・ヴァン・パレース、後藤玲子・斎藤拓訳(勁草書房)
新装版2009年
494頁
目次(収録作品)
第1章 資本主義、社会主義、そして自由
プロローグ
1.1 資本主義vs.社会主義
1.2 自由な社会としての純粋社会主義
1.3 自由な社会としての純粋資本主義
1.4 個人主権と集合的主権
1.5 何への自由か? 義務、自律性、潜在的欲求
1.6 何からの自由か? 二つの強制概念
1.7 形式的自由と実質的自由
1.8 リアル・リバタリアニズム
第2章 持続可能な最高水準のベーシック・インカム
プロローグ
2.1 ひとつのラディカルな提案
2.2 無条件性と実質的自由
2.3 持続可能性
2.4 現金か、現物か?
2.5 初期賦与か、定期給付か?
2.6 実質的自由の尺度は何か?
2.7 競争的な価格設定、機会費用、無羨望
2.8 体制間での実質的自由の比較
付録:ベーシックインカムvs.負の所得税
第3章 非優越的多様性
プロローグ
3.1 拡張されたオークション
3.2 ピープ・ショーで働くこと、広場でデートすること
3.3 無知のヴェール下での保険
3.4 ドウォーキンに対する四つの異論
3.5 アッカーマン提案の一般化
3.6 不十分な再分配?
3.7 諸他のオルタナティブな戦略
3.8 過大な再分配?
付録1 ローマー対ドウォーキン
付録2 十分さ、ぜいたくさ、豊富さ、そして最低所得保証
付録3 非優越的多様性と無羨望
第4章 資産としてのジョブ
プロローグ
4.1 クレージー/レイジー問題
4.2 ロールズ対ドウォーキン
4.3 われわれの遺産は増やせるか?
4.4 非-ワルラス的世界における平等な賦与
4.5 ワークシェアリング、買収、稀少性の消失
4.6 ジョブ・オークションから所得税へ
4.7 一貫性のない提案? 才能の不平等に伴う雇用レント
4.8 滑り坂? 働く権利から結婚する権利へ
付録 クレージー、レイジー、修正されたロールズ格差原理
第5章 搾取と実質的自由
プロローグ
5.1 他人の労働から利得を引き出すこと
5.2 権力、贈与、フリーライド
5.3 ロック的搾取
5.4 創造者保持原理
5.5 ルター的搾取
5.6 努力に応じて各人に
5.7 ローマー的搾取
5.8 資産に基づく不平等
第6章 資本主義は正当化されるか?
プロローグ
6.1 最適資本主義vs.最適社会主義
6.2 資本主義的な選好形成
6.3 市場の失敗と無用な活動
6.4 危機
6.5 失業予備軍
6.6 創造的破壊
6.7 人民主権
6.8 ペンギンの島には近づかない
80年代後半からヨーロッパで高まったベーシック・インカム(BI)論議に影響を与えた基本書。自己所有権に拘泥しすぎる者は真のリバタリアンでない。各人が「社会的財産」の一人当たりのシェア分を専有し、それを不断に最大化できる社会を求めてこそリバタリアンだ。政策論としてでなく、規範理論の視点からBIの発見的な正当化をめざす。
出典:勁草書房公式サイト