『オーストリア皇太子の日本日記』フランツ・フェルディナント、安藤勉訳(講談社学術文庫)
2005年
240頁
定価:924円(税込)
目次(収録作品)
第1章 長崎―熊本―下関―宮島
第2章 京都―大阪―奈良―大津―岐阜
第3章 名古屋―宮ノ下―東京―日光―横浜
1892年末、オーストリア帝国帝位継承者、皇太子フェルディナントは世界周遊の旅に出た。翌年長崎に到着した彼は東京を目ざすが、その途次、各地で日本文化との出会いを堪能しつつ、のちにウィーン民族学博物館日本部門の礎をなす18000点もの美術品等の蒐集も行う。21年後、サラエボで暗殺される悲運の皇太子若き日の日本紀行。
園内は無数の提灯がまるで妖精のようにきらきらと輝き、真昼のような光に満ちあふれていた。日本人というのは、まことに照明の達人だ。簡素きわまりない装置を巧みに用い、すばらしい効果を生み出す術をじつによく心得ている。(熊本クラブの庭園にて)
出典:講談社BOOK俱楽部