『なぜ世界はそう見えるのか―主観と知覚の科学』デニス・プロフィット、ドレイク・ベアー、小浜杳訳(白揚社)
2023年
320頁
目次(収録作品)
第一部 行う
第一章 発達する
歩くことを学ぶ/視覚の機能をとらえなおす/視覚的断崖とゴンドラ猫/手でつかめば世界が把握できる/ゾーンに入る
第二章 歩く
坂の傾斜はどのように知覚されるのか/歩行が生んだ人間の世界/表現型に沿った生き方/世界は伸び縮みする
第三章 つかむ
人間の手(と行為)は心を宿している/手が語る人類の歴史/見えないのに見えている/手が注意を誘導する/利き手が善悪を決める
第二部 知る
第四章 考える
ガットフィーリング/思考と生体エネルギー/流暢性/多様性が集団意思決定において重要なのはなぜか/フェイクニュースと身体化された思考
第五章 感じる
情動を知覚する/やれ、やるな/社会的痛み/感情の誤帰属とうつ/恐怖を感じると世界が歪む
第六章 話す
口と手のつながり/手を使って話す/インデックスは音声でも作られる/身体化された語源と記号接地問題/ボトックスと読解力との関係/動きによる読解
第三部 帰属する
第七章 つながる
心地よい接触がないと生きられない/皮膚は社会的器官である/MRIで手をつなぐ/友の存在が重荷を軽くする/母親と他者/絆の力/認知的加齢と社会的ネットワーク
第八章 同一化する
帰属する集団でものの見え方が変わる/他人種効果と没個性化/物語が持つ力/団結力の光と闇
第九章 文化に同化する
名誉の文化/文化相対主義/分析的思考と包括的思考/中国ーー稲作文化と麦作文化/社会的アフォーダンスと関係流動性
おわりに 歩くことで道はできる
全員が同意する「客観的な世界」は存在しない
・友人と一緒だと、坂の勾配がゆるやかに見える。
・糖分を摂取すると、物までの距離を短く見積もる。
・嫌悪感を抱きやすいと、政治的に保守になりやすい。見る人によってはもちろん、同じ人でもその時々で、世界の見え方や物事に対する考え方は大きく違ってくる。
なぜ、そんなことが起きるのか?
事実の認識にズレを生む〈知覚〉の正体に心理学・科学的に迫る。出典:白揚社房公式サイト