『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』内山節(講談社現代新書)
2007年11月20日第1刷発行
178頁
目次(収録作品)
第1章 キツネと人
第2章 1965年の革命
第3章 キツネにだまされる能力
第4章 歴史と「みえない歴史」
第5章 歴史哲学とキツネの物語
第6章 人はなぜキツネにだまされなくなったのか
著者は哲学者。
本書は、書名から民俗学や社会学系の本だと想像するひともいるかと思うが、そうではなく主に歴史とは何かを考察したもの。
前半は、人に聞いた、なぜ人は狐に騙されなくなったかの理由を紹介しながら論じている。
後半は、知性の視点に偏った歴史(観)や(西洋的)近代化について考察している。
気になった点。
(p.52)〔ヨーロッパの思想は(略)人間が知性をもつことによって文明が開けたと考える。ところが日本の伝統思想はそうではない。知性をもつことによって自然であることを失ったと考えるのである。〕
(p.175)〔(略)神の本体は自然と自然に還ったご先祖様であり、その本質は「おのずから」だからである。〕
日本には古来、上記のような認識・思想があった(ある)との前提で論じているが、どうか。論拠は?