1967年6月26日
220頁
著者は、地理学者、文化人類学者。
著者が考案したカードを使い情報整理をするKJ法を紹介するのが主な内容。
古い本だがいまも有益な書。著者の体験に即した考えや指摘が所々にあり、それらが興味深く、また役立つ。
本書は、約90刷、80万部をこえるベストセラー。ベストセラーの本にはなぜこんなものが売れたのだろうというものが少なくないが、本書がいまも読まれているのは、うなずける。
それは本書が、高校生から年配の経営者まで、幅広く様々な読者にためになる内容だからである。
なお、本書には新しい改版がある。(改版は旧版より行間が広くなり読みやすくなっている)
(本書の内容とは関係ないが「あとがき」に気になる箇所があるので記しておく。言いたいことは多々あるが、それは本書の書評とは、逸れるので軽くにとどめる)
p.206
日本は今なお部族国家なのである。史上最大の部族国家かもしれない。そこには、「日本さえよければ」という、何とも得手勝手な民族的エゴがある。緊密な連携で地球家族として生きざるを得ないこの現代において、これはまた何とも鼻もちならぬ独善ではなかろうか。
p.213
閉鎖的な部族国家社会である日本を、より国際化せねばなるまい。
筆者は、我が国に特に「得手勝手な民族的エゴ」があるとは思わない。著者は、西洋列強の虐殺、略奪、植民地政策の搾取をどのように考えているのだろうか。
「緊密な連携で地球家族として生き」ていこうと本気で考え行動している国は、どこにあるのだろうか。
「閉鎖的」とは具体的にはどのようなことだろうか。どこと比較しどのように閉鎖的なのだろうか。
また、「部族国家社会を国際化する」というのはどういうことだろう。筆者には意味が分からない。
[関連]
『続・発想法―KJ法の展開と応用』川喜田二郎(中公新書)
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