1994年
325頁
著者はTBSのテレビディレクター、演出家。
本書は、いわゆる文章読本で、著者が「雑文」とよぶ書籍として残らない主に本職が物書きではない画家・俳人・歌人・学者・芸人などのさまざまな文章を多数紹介している。初出は雑誌「諸君!」の連載で、一篇一篇は、短くまとまっていて、また、著者の文章も平易明快で読みやすい。
著者の文章表現などに対する考察もとても簡潔で的を射たものでよい。
これほど多彩な文章を引用してまとめたものはほかにないだろう。読みごたえがあり、中々おすすめの一書である。
ただ、引用の出典をきちんと示していないものが多くこれは大きな欠点である。引用文のタイトルと著者名は書かれているが、出版社や発行年、雑誌名等々が多く示されていない。
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『忘れられた名文たち』鴨下信一(1997・文春文庫)
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『忘れられた名文たち 其ノ二』鴨下信一(1998・文藝春秋)