2011年8月1日初版発行
281頁
著者は、小説家。(1938-2013)
本書は、ビルマに出征した著者の父親が戦地から家族におくった手紙を紹介しながら、当時を回想したエッセー。
手紙はすてきな絵手紙で興味深い。ただ、一書としてはすぐれない。
著者は、直木賞ほか数々の文学賞を受賞した作家であるが、すくなくとも本書の文章はよくない。わざわざ書く必要はない個人的な思い違いやなんやらが、綴られていて冗長である。また、「こんにちわ」「こんばんわ」と表記しているのも奇異である。校正でも指摘されるだろうし、凡ミスの訳はないので、何かこの表記にこだわりがあるのか。
それから、当時のことについて記憶があまりなく、「~ではないか。~ではなかったか。」等の推測がしばしばで、それも読者には関心のない内容が多い。
[関連]
『父の戦地』北原亞以子(2008・新潮社)単行本
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