平成27年(2015)5月1日初版発行
318頁
著者は、ドイツ文学者、評論家。
本書は、『人生の深淵について』(洋泉社・2005)を改題し、文庫化したもの。
怒り、虚栄、孤独、退屈、羞恥、死などについて、そのテーマごとに考察したエッセイ集。
著者の体験の部分は興味深かったが、考察は全体的にはいまひとつ。悪いというのではなく、ある程度ものを考えている人ならわきまえている事柄が多い。
著者が癌を患った際の話が印象に残る。
少年の時、死を覚悟し特攻隊に志願しようとしていたという経験も本書に書かれていると思って読んだのだが、それはなかった。
その経験を語った方が説得力や重みが増すのになぜ語らなかったのだろうか。これらが書かれた時期には、そのことは明かしていなかったのだろうか。
[関連]
『人生の深淵について』西尾幹二(洋泉社・2005)
amazon