『断片化する理性―認識論的プラグマティズム』スティーヴン・P・スティッチ、薄井尚樹訳(勁草書房)
2006年
356頁
目次(収録作品)
第一章 「まえがき」以上「序論」以下
1-1 認識論の三つの伝統的なプロジェクト
1-2 つながりを見出すこと──推論の心理学、探究の評価、志向的内容の分析
1-3 認識論的評価の理論を求めて──地ならし
1-4 認識論的プラグマティズム
第二章 うまい推論と志向的内容──われわれはどれほど不合理でありうるのか
2-1 クワインの論証とその敷衍
2-2 最小合理性の論拠
2-3 なぜ志向的記述は合理性を前提するのか
2-4 不合理性の限界を支持する論証と、そういった限界が興味深いものでない理由
第三章 進化と合理性
3-1 論証を求めて
3-2 真理、信頼性、自然選択
3-3 進化と最適なデザイン
3-4 いくつかの結論
3-5 生得性、推論、認識論的多元主義の見込み
3-6 遺伝的な多様性と認識の多様性
第四章 反省的均衡と分析哲学的認識論
4-1 認識プロセスの評価規準としての反省的均衡
4-2 コーエンの論証
4-3 反省的均衡による説明は正当化についてのわれわれの考えを捉えているのだろうか
4-4 ネオ・グッドマン流のプロジェクト
4-5 ネオ・グッドマン流のプロジェクトのいくつかの疑わしい前提
4-6 分析哲学的認識論に抗して
4-7 結論と展望
第五章 われわれは本当に自分の信念が真かどうかを気にかけているのだろうか
5-1 はじめにあたって
5-2 信念と真理
5-3 解釈関数──あるひとつの理論のスケッチ
5-4 因果/機能的解釈の限界と特異性
5-5 真なる信念、内在的価値、道具的価値
5-6 他の解釈関数へと論証を一般化する
第六章 認識論的評価に関するプラグマティックな説明
6-1 プラグマティズムを目指して
6-2 プラグマティズムと相対主義
6-3 プラグマティズムと循環性
6-4 推論についての心理学的研究を解釈する──プラグマティズムの適用
認識論では伝統的に真理や合理性を重視し、知識とは「真なる正当化された信念」であると位置づけてきた。本書はこの定義を根本から否定し、認識の目標は多様であり、そうした多様な目標にどれだけ役立っているかを評価軸とするプラグマティックな認識論を提唱する。分析哲学の古典的テーゼに無効を宣告した、現代哲学の最重要文献。
出典:勁草書房公式サイト