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『封建社会』マルク・ブロック(みすず書房)

『封建社会1』マルク・ブロック、新村猛訳・森岡敬一郎・大高順雄・神沢栄三訳(みすず書房)

1973年
284頁
定価:4,180円(税込)




目次(収録作品)

第一巻 従属の紐帯の形成
I 環境
1 最後の蛮族侵入
第一章 イスラム教徒とハンガリー人
  1 侵入と包囲とを受けたヨーロッパ/2 イスラム教徒/
  3 ハンガリー人の攻撃/4 ハンガリー人侵入の終熄
第二章 ノルマン人
  1 スカンディナヴィア人侵入の一般的性格/2 掠奪から定住へ/
  3 スカンディナヴィア人の定住地 イングランド/4 スカンディナヴィア人の
  定住地 フランス/5 北方のキリスト教化/6 原因の探究
第三章 侵略の若干の結果と若干の教訓
  1 混乱/2 人間的寄与 言語と名称との証拠/3 人間的寄与 
  法と社会構造との証拠/4 人間的寄与 原住地の問題/5 教訓

2 生活条件と心情
第一章 物質的諸条件と経済的基調
  1 封建時代の二つの時期/2 封建時代の第一期 植民/3 封建時代の第一期
  交流生活/4 封建時代の第一期 交換/5 封建時代の第二期 経済革命
第二章 感じ方と考え方
  1 自然と時期とに対する人間/2 表現/3 教養と社会階層/4 宗教心
第三章 集団記憶
  1 歴史編纂/2 叙事詩
第四章 封建時代の第二期における知的ルネサンス
  1 新しい文化の諸性格/2 自覚
第五章 法の基礎
  1 慣習の支配/2 慣習法の性格/3 成文法の復活

II 個人間の紐帯
1 血の紐帯
第一章 系族の連帯性
  1 「肉の朋友」(amis charnels)/2 復讐/3 経済的連帯性
第二章 親族の紐帯の性格と消長
  1 家族生活の実態/2 系族の構造/3 血の紐帯と封建制
2 家士制と封土
第一章 家士のオマージュ
  1 人格的従属関係/2 封建時代におけるオマージュ/3 人格的従属関係の発生/
  4 家中戦士/5 カロリング朝の家士制/6 古典的家士制の形成
第二章 封土
  1 《恩貸地》と封土 給与としての保有地/2 家士への《給地》
第三章 ヨーロッパ一巡
  1 フランスの多様性 南西部とノルマンディー/2 イタリア/3 ドイツ/
  4 カロリング帝国の支配圏外 ——アングロ・サクソン時代のイングランドと
  アストゥリアス・レオン王国のイスパニア/5 移植された封建制度
第四章 いかにして封土は家士の家産となったか
  1 世襲の問題 《名誉封》と単なる封土/2 発展—フランスの場合/
  3 発展—神聖ローマ帝国の場合/4 相続権を通じて見た「封(土)」の変質/
  5 取引における誠実
第五章 複数の主人をもつ「家士(オム)」
  1 複数のオマージュ/2 優先オマージュの隆盛と衰退
第六章 家士と領主
  1 助力と保護/2 「系族」に代るものとしての家士/3 相互性と解消
第七章 家士制の矛盾
  1 証拠の諸矛盾/2 法的紐帯と人的接触

3 下層の諸階級における従属の紐帯
第一章 領主制
  1 「領主地」/2 領主地の拡大/3 領主と保有農
第二章 隷属と自由
  1 出発点 フランク時代の人の身分/2 フランスの農奴制/3 ドイツの場合/
  4 イングランドの場合 隷農制の消長
第三章 領主地制度の新しい諸形態に向って
  1 負担の固定化/2 人間関係の変容

西欧中世社会の生命にあふれる像を描き出し、全体史の構想をみごとに実現した一時代の解剖図。「アナール」誌を創刊し、ナチの凶弾に倒れた歴史家の主著。第1巻は、中世の生命力=封建制度が基盤とした、人間の人間への従属する紐帯を実証。

〈ここに、いかなる読書人も喜びと興趣と興奮に誘われずに読むことのできない、完璧な学識によって成る希な書がある。ブロックがわれわれに示すのは、一つの時代の解剖学である。これは歴史というよりは社会学であり、どう見積っても歴史的社会学であると言う人もあろう。とすれば、これは多くの歴史書に欠けていた新しい次元を付加するものである。〉(バラクラフ)

封建制度は、9世紀より19世紀に至る西欧社会における一つの生命ある力であった。親縁関係のような、あるいは風土を媒介とする領主と家士関係のような、こうした封建的構造の核にあり、それに固有の色調を与えた人間の人間への従属の紐帯は、いかに形成され、いかなる性格を有したであろうか。これが第一巻の主題である。そして〈良き歴史家とは伝説の人食い鬼に似ている〉というブロックは、社会構造のダイナミックな展開を考察するなかにも、食欲に人間の姿をみつめ、みごとな歴史叙述をなしている。
 今世紀の偉大な歴史家であり、ソルボンヌの教授であったマルク・ブロックは、第二次大戦中レジスタンスに加わり、非命の最後を遂げた。彼の主著、待望の邦訳。

出典:みすず書房公式サイト

封建社会〈1〉

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『封建社会2』マルク・ブロック、新村猛・森岡敬一郎・大高順雄・神沢栄三訳(みすず書房)

1977年
267頁
定価:4,180円(税込)




第二巻 階級と統治
緒言
1 階級
第一章 事実上の階級としての貴族
  1 血統に基づく旧貴族の消滅/2 封建時代第一期における《貴族》
  という語の種々の意味/3 領主階級としての貴族階級/4 戦士の職分
第二章 貴族の生活
  1 戦争/2 家における貴族/3 職業と娯楽/4 行為の諸準則
第三章 騎士制度
  1 騎士叙勲/2 騎士の行為規範
第四章 事実上の貴族から法的貴族への変化
  1 騎士叙勲の世襲と貴族叙任/2 騎士の子孫の特権階級化/
  3 貴族の権利/4 イングランドの例外
第五章 貴族内部の階級分化
  1 権力と地位の階層秩序/2 下士と隷属身分の騎士
第六章 聖職者階級とさまざまの専門職階級
  1 封建制度における教会の位階秩序/2 隷農とブルジョワ

2 統治
第一章 裁判
  1裁判制度の一般的性格/2 裁判権の細分化/3 同輩による
  裁判か領主による裁判か/4 細分化の埓外にあったもの:遺構と新要因
第二章 伝統的諸権力:王国と帝国
  1 諸王国の地理学/2 王権の伝達と王権の性質/3 王権の
  伝達、王朝の問題/4 帝国
第三章 領域諸候領から城守領へ
  1 領域諸候領/2 伯領と城守領/3 教会領
第四章 無秩序と無秩序に対する戦い
  1 諸権力の限界/2 暴力と平和への熱望/3 神の平和と神の休戦
第五章 諸国家の再建に向かって:諸国民の進化
  1 権力の再編成の理由/2 新しい王国、カペー朝/3 古風な王権、ドイツ/
  4 アングロ・ノルマンの王権、従服という事実とゲルマン的な遺構/5 国民

3 社会形態としての封建制とその影響
第一章 社会形態としての封建制
  1 単一の封建制か複数の封建制か/2 ヨーロッパ封建制の基本的
  諸性格/3 比較史——概要
第二章 ヨーロッパ封建制の延長
  1 遺構と再生/2 戦士の理念と契約の理念

〈アナル〉派史学の金字塔。第2巻は、封建制の起源と構造、貴族、騎士、聖職者、農奴などの階層秩序を維持した統治の諸相を描く。騎士道物語、法律文書、神学文献から日常生活や感情、人びとの生活と心情までを再現する。

ブロックがえがこうとしたのは、封建制の組織図ではなくむしろ一つの時代の解剖図である。
ヨーロッパ封建制に刻印される従属関係の網の目は、いかなる歴史的環境に生れ、かつ進化したかを第一巻は考察した。第二巻では、貴族・騎士・聖職者・農奴など専業とする職分あるいは権力と威信の度によってわかたれた諸階級、およびその階層秩序を維持した統治の様相をヴィヴィドにえがく。ブロックは、あたまの武勲士・トゥルヴァドゥール・騎士道物語を引いて騎士と貴族の日常生活や感情を再現し、法律文書と神学文献によって封建制の機能と精神を解読し、また社会学の手法をかりて歴史の深層に秘められた中世民衆の意識をも探究する。

ここに、古文書の塵のなかから、中世社会の全体像は再構築された。それは、リュシアン・フェーブルとともに自らの主宰した『社会経済史年報』派の、人間科学の四つ辻としての歴史〈全体史〉の構想のみごとな実現である。今日の歴史学にも大きな影を落としている巨像として、20世紀前半を代表する歴史叙述。

出典:みすず書房公式サイト

封建社会〈2〉

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『封建社会』マルク・ブロック、堀米庸三監訳(1995・みすず書房)649頁、定価:10,780円(税込)

本書は20世紀の歴史学が生み出したまぎれもない古典.比較史の方法を駆使し,封建社会の全体史を息づく人間の心性とともに再現する.その歴史叙述は,近年の新しい歴史学の創造を包みこみ,その胎動をも予感させる.

出典:岩波書店公式サイト

封建社会

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