『道徳および立法の諸原理序説』(上下)ジェレミー・ベンサム、中山元訳(ちくま学芸文庫)
上巻
2022年
400頁
目次(収録作品)
序
第1章 功利性の原理について
第2章 功利性の原理に反するさまざまな原理について
第3章 快と苦痛の四つの源泉および制裁
第4章 さまざまな快と苦痛の価値ならびにその測定方法
第5章 快と苦痛について、その種類
第6章 感受性に影響を与える状況について
第7章 人間の行動一般について
第8章 意図について
第9章 意識について
第10章 動機について
第11章 人間の気質一般について
第12章 有害な行為の結果について
第13章 罰すべきでない場合
快と苦痛のみに基礎づけられた功利性の原理から、個人および共同体のありようを分析する。近代功利主義の嚆矢をなす記念碑的名著をついに完訳。
イギリス近代を代表する思想家にして法学者ジェレミー・ベンサム(1748-1832)。本書は、近代功利主義の創始者として知られる彼の代表作と目される記念碑的著作である。ここでベンサムは、人間の快と苦痛のみに基礎づけられた功利性の原理をもとに個人と共同体のありようを徹底的に解析し、そこから真に普遍的な法体系を導出しようと試みる。その挑戦はわれわれをどこに導くのか? 刊行より200年以上経てもなお倫理学、法哲学、政治思想など広範な分野に圧倒的な影響を与え続けている名著を、このうえなく清新かつ平明な訳文で送る。上巻は「第13章 罰すべきでない場合」まで。文庫オリジナル。
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下巻
2022年
464頁
第14章 刑罰と不法行為の均衡関係について
第15章 刑罰に与えるべき特性
第16章 不法行為の分類
第17章 法理学の刑法分野の境界について
結語としての覚書
「政治と道徳の学問の土台をなす真理は、数学のような厳密な学問的な調査によらなければ、そして比較を絶するほど複雑で広範な調査によらなければ、見いだすことはできない」。序文に記されたこの言葉通り、本書全体の三分の一を占める長大な「第16章 不法行為の分類」においてベンサムは人間の不法行為のありようを執拗に追跡し、精緻な考察を繰り広げていく。そこに映し出されるのは、科学に立脚して立法と道徳を問いなおし、完全なる法体系を打ち立てんとするベンサムの強靭な意志である。幸福とは、人間の道徳とは、そして法の目的とは──。哲学史に燦然と輝く重要古典、待望の完訳。
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