『自叙伝』河上肇、杉原四郎・一海知義編(岩波文庫)全5巻
第1巻
1996年
385頁
「叙述は大概無遠慮にして露骨,他人を責むること酷に過ぎ,自己を評価すること重きに過ぎるなど,識者の顰蹙を買うもの少なからざるべし」-明治・大正・昭和の激動の時代を生きたマルクス主義経済学者河上肇(1879-1946)の自叙伝は,歴史的事件とそこに出没する著名人の姿を浮き彫りにした近代日本思想史である.
出典:岩波書店公式サイト
第2巻
1996年
366頁
「逃避せず尻込みせず,行かなければならぬと信ずればどこまでも行く,こういうのが私の人相の特徴であり」-第2冊には,無我愛運動の時代から新労農党解消運動にいたる経緯を描いた「自画像」についで,日本共産党への入党,忘れがたい百余日にわたる地下生活,そして検挙によるその終焉が語られる.
出典:岩波書店公式サイト
第3巻
1996年
401頁
「私はそこで蝦蟇口を取られ,時計を取られ,ハンケチを取られ,塵紙を取られ,着物を取られ,煙草を取られ,着物の襟にさしていた爪楊子を取られ,帯をも取られた」.通算4年6か月に及ぶ獄中生活はこうして始まった.本巻には,検挙から下獄にいたる「未決監の生活」のほか,小説風の入獄記「入牢後の秋」「特赦の夢」などを収録.
出典:岩波書店公式サイト
第4巻
1997年
385頁
獄中での生活も2年目に入り,仮釈放の噂が飛び交う.満期服役の覚悟をした後もなかなか止まぬ心の波動.そこにつけこむ行刑当局.「研究対象に関する主要材料を残らず全面的に把握」すべく努めた周到な経済学者河上肇が,条件の整わぬ環境の中で,検事の執筆要求を契機に,内心の葛藤を独自の宗教論,転向への思索へと昇華させてゆく.
出典:岩波書店公式サイト
第5巻
1997年
468頁
「失意の者が得意の人を悪く言うのは,聞いていて快いものではない.私はそのことを心得ぬではないが」と河上肇は筆を続ける.峻厳にまた辛辣に,ときには共感をこめて描き分けられる群像-荒木寅三郎,津田青楓,木下尚江,田中正造,島崎藤村,内村鑑三ら.「思い出・断片」と「祖父河上才一郎」「祖母天寿院の半生」を収める.
出典:岩波書店公式サイト
『自叙伝』河上肇(岩波文庫)全5巻セット
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『自叙伝』(上下)河上肇(1989・岩波書店)(上巻:499頁、下巻:480頁)
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