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「桜の樹の下には」梶井基次郎

約5枚(400字)

ごく短い作品。内容も含め詩のよう。
全体としては、いまいち。発想も幼稚さを感じてしまう。空想の内容自体もそうだし、樹、一本に屍体がひとつという「設定」とかも。(大量の屍体が埋まっていてもよいだろう)
ただ、下記引用の想像力、描写はすごい。グロテクスさと美しさが混じりあったすぐれた描写。

馬のような屍体、犬猫のような屍体、そして人間のような屍体、屍体はみな腐爛して蛆が湧き、堪たまらなく臭い。それでいて水晶のような液をたらたらとたらしている。桜の根は貪婪な蛸のように、それを抱きかかえ、いそぎんちゃくの食糸のような毛根を聚めて、その液体を吸っている。
 何があんな花弁を作り、何があんな蕊を作っているのか、俺は毛根の吸いあげる水晶のような液が、静かな行列を作って、維管束のなかを夢のようにあがってゆくのが見えるようだ。

青空文庫 (新字旧かな)
えあ草紙 (縦書き)

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