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『日本人の心 増補新装版』相良亨(東京大学出版会)

『日本人の心 増補新装版』相良亨(東京大学出版会)

1984年11月30日初版第1刷発行
2009年7月20日増補新装版第1刷発行
281頁
定価:3,080円(税込)
オンデマンド版 定価:3,300円(税込)




目次(収録作品)

一章 交わりの心
二章 対峙する精神
三章 純粋性の追求
四章 道理の風化
五章 持続の価値
六章 あきらめと覚悟
七章 死と生
八章 おのずから
日本人における道徳理論

著者は、日本思想史専門の学者。(1921-2000)

本書は、日本人の精神、倫理を論じたもの。古典的文献や和歌などを数多く引用しつつ、情け・物のあはれ・名と恥・清明心・誠・道理・諦め・浮世などの日本人の精神を論じている。

なかなかの良書。日本人の精神・倫理観は主観的であり、客観性を備える必要があるとの指摘は鋭く、また正論である。ただ、ではどうすればよいかについては本書には述べられていない。

(p.74)
日本人は歴史のそのはじめから、ひたすら主観的な無私清明な心を追究し、それを十全な人間関係を実現する倫理として捉えてきた。客観的な理法・規範を追究する姿勢は、今日なお、十分な成熟を見ないでいる。

(p.75)
誠実は、倫理的には、「誠実でありさえすればよい」と切り札的な権威をすらもって、しばしば受けとられている。

(p.102)
他者に対する心情が純粋であればよいのであって、他者とはそもそも何かという客観的な問いは、日本的な「誠実」からは出てこない。

(p.131)
(略)国際的交流のはげしくなった今日において、何らかの普遍的なよりどころが強く求められなければなるまい。もっとも、それは[日本の]伝統のトータルな否定においてではなく、伝統を生かすことのうちに求められなければなるまい。


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『日本人の心 増補新装版』相良亨(1984・東京大学出版会)
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