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『見えるものと見えないもの』メルロ=ポンティ(みすず書房)

『見えるものと見えないもの―付・研究ノート』モーリス・メルロ=ポンティ、滝浦静雄・木田元訳(みすず書房)

新装版2017年
512頁




目次(収録作品)

まえがき(クロード・ルフォール)

見えるものと自然[哲学的問いかけ]
反省と問いかけ
[知覚的信念とそのあいまいさ]
[科学は知覚的信念を前提するもので、それを解明するものではない]
[知覚的信念と反省]
問いかけと弁証法
[知覚的信念と否定性]
[知覚的信念と問いかけ]
問いかけと直観
絡み合い――交叉配列

補遺
前客観的存在:独我論的世界
[前客観的なものへの還元]
1 現前
[物と何ものか]

研究ノート
1959年1月
真理の起源/真理の起源/真理の起源の第一巻/存在と無限/生まの、
あるいは野生の存在(=知覚される世界)と、それがGebilde〔形成体〕とし
てのλόγος προφορίκος〔顕在的ロゴス〕に対して、われわれが生み出す
「論理学」に対してもつ関係――/無言のコーギト
1959年2月
還元――真に超越論的なるもの――Ratsel Ersceinungweisen.〔現象の
仕方という謎〕――世界/Einstromen〔流れこみ〕――反省/Wesen〔現成〕
(動詞的)――歴史のWesen/無言のコーギトと語る主体/論理学の系譜。
存在の歴史。意味の歴史/Geist〔精神の〕Weltlichkeit〔世界性〕――。
「見えない世界」。対象‐〈存在〉のうちの非存在:Seyn〔存在〕/科学と哲学/
〔標題なし〕/時間――
1959年3月
〔標題なし〕
1959年5月
見えるものと見えないもの 第二部/見えるものと見えないもの/知覚――
無意識――ひと――真なるものの遡行運動――沈澱。(真なるものの遡行
運動はその一部をなしている)/フッサールZeitbewußtsein〔時間意識〕――/
物の超越と幻影の超越/「思考」、「意識」、……に内属してあること/交錯する
眼差し=eine Art der Reflexion〔一種の反省〕/(ベルクソン)超越――忘却
――時間
1959年6月
哲学と文学/存在と世界、第三章/悟性と暗黙の意味――哲学の歴史/〔標題なし〕
1959年7月
二元論――哲学
1959年8月
〔標題なし〕
1959年9月
知覚する主体、語る主体、思考する主体/〔標題なし〕/分析の問題/Gestalt
〔ゲシュタルト〕/プレグナンス、超越――/経験的プレグナンスと幾何学的プレグ
ナンス(E・ブランズウィック)/存在論の原理:不可分な存在/〔標題なし〕/〔標題なし〕
1959年10月
存在論――/〔標題なし〕/野生の知覚――直接的なもの――文化的知覚――
learning〔学習〕/知覚と言語
1959年11月
交叉(キアスマ)/〔標題なし〕/見えるものと見えないもの/諸「感官」――次元性
――〈存在〉/奥行/〔標題なし〕/私‐他者、不十分な定式/〔標題なし〕/〔標題なし〕
1959年11月
ライプニッツ/「世界」/フッサールのlebendige Gegenwart〔生き生きとした現在〕
1960年1月
科学と存在論/尺度――この概念の存在論的意味。内部存在論(Endo-ontologie)、
フッサールの現象学的絶対者を参照/見えないもの、否定的なもの、垂直の〈存在〉/
〔標題なし〕/見えるものと見えないものの問題圏/知覚――運動――感覚野の始元
的統一性――受肉の同義語としての超越――内部存在論――心と身体――質的統合
と質的差異化――
1960年2月
人間の身体 デカルト/フッサール:思考のErwirken〔実現作用〕と歴史性。思考に
ついての「垂直的」な考え方/本質――否定性/否定的なもの、および概念の問題。
グラディエント/「表象的」作用と他の諸作用――意識と実存
1960年3月
言葉の哲学と文化の居心地の悪さ/過去の輻(や)。世界の輻。/「世界の輻」(フッサール
未刊稿)という概念。(あるいは宇宙(ユニヴェール)の線)
1960年4月
見えるものと見えないもの/「不滅の」過去、と志向的分析論、――および存在論/
テレパシー――対他存在――身体性/Ѐγώ〔われ〕とοϋτις〔誰でもない者〕
1960年5月
見えるもの――見えないもの/「意識」の盲目性(punctum caecum〔盲点〕)/
世界の肉――身体の肉――〈存在〉/形而上学――無限。世界――Offenheit
〔開在性〕/文学とはつまり感覚的なものの哲学である/「視覚的画像」―→「世界の表象」。
Todo y Nada〔すべてにして無〕/触れること‐おのれに触れること。見ること‐おのれを
見ること。〈自己〉としての身体、肉/見えるものと見えないもの/見えない見えるもの
1960年6月
歴史学、超越論的地質学。歴史学的時間、歴史学的空間――哲学/肉――精神
1960年11月
見える‐見るもの/夢。想像的なもの/交叉配列――転換可能性/〔標題なし〕/
政治――哲学――文学/想像的なもの/自然/時間と交叉配列/知覚の沈黙。
沈黙の、表面的な意味をもたない、だがやはり意味に充ちた言葉(パロール)――
言語(ランガージュ)――物/「他者」
1960年12月
身体の肉――。エロス――。フロイト主義の哲学/世界の内にある身体。鏡像
――類似/「垂直的なもの」と実存
1961年3月
デカルト/デカルト――Intuitus mentis〔精神の直観〕/肉/
私の計画:I 見えるもの II 自然 III ロゴス

あとがき(クロード・ルフォール)
訳注
訳者あとがき
索引

1961年5月3日、メルロ=ポンティはパリの自宅で大著『見えるものと見えないもの』を執筆中、突然襲った心臓麻痺のため、急逝した。「へーゲル以後」を生きる哲学者として、「非・哲学」を自らのスタイルとし、身体・言語・芸術等を手がかりに、世界のうちに生きながら、世界について考え、世界を語ることの意味を徹底して考えぬいたこの哲学者は、いったい何を語ろうとしていたのか?
本書は、『見えるものと見えないもの』の未完の草稿群と、晩年の「研究ノート」から成る。ここで著者は、『行動の構造』や『知覚の現象学』で到達した自らの思想に根底的批判を加え、新たな存在論を示そうとする。「直接的存在論を形成することなどできるものではない。私の“間接的”方法(存在者のなかでの存在)だけがただひとり存在に適合する。——“否定神学”と同じような“否定哲学”。」
後期のハイデガーやフッサールに応えながら、野生の存在、交叉配列、転換可能性、蝶つがいなど、独特の用語を駆使しながら、著者は、人間と世界と言語をめぐる逆説を生きた表現にまで高める。その思索の軌跡は、とくに「研究ノート」に生ま生ましい。

出典:みすず書房公式サイト


[関連]
『見えるものと見えないもの―付・研究ノート』モーリス・メルロ=ポンティ、滝浦静雄・木田元訳(1989・みすず書房)旧版
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『見えるものと見えざるもの』モーリス・メルロ=ポンティ、クロード・ルフォール編、中島盛夫・伊藤泰雄・岩見徳夫・重野豊隆訳(新装版2014・法政大学出版局)

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