『福祉社会と社会保障改革―ベーシック・インカム構想の新地平』小沢修司(高菅出版)
2002年
195頁
目次(収録作品)
Ⅰ企業中心社会と社会保障改革
第1章 いま何故、社会保障改革か
1 家族・労働の変化と社会保障制度の揺らぎ
2 わが国社会保障制度の「企業中心社会」的特徴
3 「企業中心社会」の弊害
4 「男女共同参画社会」と戦後税制の転換
第2章 国民負担から見た社会保障改革
1 「福祉ビジョン」の描く「社会保障の給付と負担」像
2 社会保障の「国民負担」
3 80年代からの「受益者負担」戦略の評価
4 国民負担から見た社会保障と国民生活
Ⅱベーシック・インカム構想と福祉社会の展望
第1章 ベーシック・インカム構想の新展開
1 ベーシック・インカム構想の系譜
2 戦後「福祉国家」の見直しとベーシック・インカム構想
3 最低限所得保障の諸類型とベーシック・インカム構想
第2章 労働の変容と所得保障
1 ゴルツの「ベーシック・インカム保障+大幅時短セット論」
2 社会的排除と貧困
3 ワークフェアと所得保障
4 ベーシック・インカム保障と労働時間の短縮が切り開く道
5 小括
終章 日本におけるベーシック・インカムの可能性
本書の特徴は二つ。一つは、戦後「福祉国家」下の社会保障制度の揺らぎの意味を、世界的に進行する家族ならびに労働のあり方の変化という基礎構造の変化から捉えると同時に、日本においては「企業中心社会」的特徴をもっている社会経済システムならびに社会保障制度が機能しなくなっているという視点から捉えている点。もう一つは、ベーシック・インカム構想というヨーロッパを中心に大きな関心を呼びながら日本ではまだ研究が緒についたばかりの議論を展開していることである。
本書表紙(カバー)より