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「わが詩をよみて人死に就けり」高村光太郎

わが詩をよみて人死に就けり(暗愚小伝断片)

爆弾は私の内の前後左右に落ちた。
電線に女の太腿がぶらさがつた。
死はいつでもそこにあつた。
死の恐怖から私自身を救ふために
「必死の時」を必死になつて私は書いた。
その詩を戦地の同胞がよんだ。
人はそれをよんで死に立ち向つた。
その詩を毎日よみかへすと家郷へ書き送つた
潜航艇の艇長はやがて艇と共に死んだ。



出典:『高村光太郎全集 第3巻』(筑摩書房)。新漢字に改める。
※高村光太郎の著作権は消滅している。

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