『昭和の作家力 千夜千冊エディション』松岡正剛(角川ソフィア文庫L-500-28)
2023年
432頁
目次(収録作品)
第一章 中心から逸れて
大手拓次 『大手拓次詩集』
萩原朔太郎 『青猫』
中原中也 『山羊の歌』
齋藤史 『記憶の茂み』
牧野信一 『ゼーロン・淡雪』
江戸川乱歩 『パノラマ島奇談』
久生十蘭 『魔都』
大佛次郎 『冬の紳士』
安部公房 『砂の女』
渋澤龍彦『うつろ舟』
車谷長吉 『鹽壺の匙』
第二章 ヒーロー・悪・復讐
中里介山 『大菩薩峠』
林不忘 『丹下左膳』
長谷川伸 『相楽総三とその同志』
坂口安吾『堕落論』
坂口三千代 『クラクラ日記』
宮尾登美子 『鬼龍院花子の生涯』
隆慶一郎 『吉原御免状』
木山捷平 『大陸の細道』
大藪春彦 『野獣死すべし』
第三章 歴史の影を射る
永井路子 『北条政子』
野上彌生子 『秀吉と利休』
井上靖 『本覚坊遺文』
三浦綾子 『細川ガラシャ夫人』
大原富枝 『婉という女』
村山知義 『忍びの者』
山本周五郎 『虚空遍歴』
舟橋聖一 『悉皆屋康吉』
織田作之助 『夫婦善哉』
藤沢周平 『半生の記』
第四章 ニッポンを問う
大岡昇平 『野火』
武田泰淳 『ひかりごけ』
深沢七郎 『楢山節考』
松本清張 『砂の器』
三島由紀夫『絹と明察』
井伏鱒二 『黒い雨』
野坂昭如 『この国のなくしもの』
井上ひさし『東京セブンローズ』
中上健次 『枯木灘』
梁石日 『アジア的身体』
高村薫 『新リア王』
追伸 昭和、どうする?
蜃気楼のような昭和の熱は、文学に注ぎ込まれた。
「思い出す」には近すぎる――「昭和」は総じて痛ましく、その言葉の群れはたいてい過剰に陶冶されていた。詩や小説に注ぎ込まれたその熱と痛みは、激動のうねりを浴びて変化しながら一時代を築いていく。あまりに多様、あまりに孤独、あまりに熱っぽい。文学作品から引き出す新たな昭和像。
出典:KADOKAWA公式サイト