『『キング』の時代―国民大衆雑誌の公共性』佐藤卓己(岩波現代文庫)
2020年
592頁
目次(収録作品)
1 講談社文化と大衆的公共圏
(マス・メディア誕生/講談社文化と岩波文化―出版革命と公共性/「大衆」の争奪戦―プロレタリア的公共性とファシスト的公共性)
2 『キング』の二つの身体―野間清治と大日本雄弁会講談社
(野間清治の立身出世主義―「私設文部省」の光と影/『キング』への道―細分化メディアにおける統合戦略/「雑誌報国」か「積悪の雑誌王」か)
3 「ラジオ的雑誌」の同調機能 一九二五―一九三二年
(「くち・コミュニケーション」の企業化/「ラジオ読者」の利用と満足/『キング』レコード)
4 「トーキー的雑誌」と劇場的公共性 一九三三―一九三九年
(「ラジオ的雑誌」のトーキー化/「雑誌報国」と「映画国策」/「日刊キング」と戦争ジャーナリズム)
5 『キング=富士』のファシスト的公共性 一九四〇―一九四五年
(雑誌の黄金時代?/「読書の大衆化」と「大衆の国民化」/「精神弾薬」と思想戦)
結 国民雑誌の戦後 一九四五ー一九五七年
(「戦犯雑誌」のサバイバルー民主化の意味/国民雑誌の限界)
おわりに―国民雑誌の終焉
あとがき
岩波現代文庫版のあとがき
解題『キング』の亡霊たち 與那覇潤
日本で初めて発行部数一〇〇万部を達成し、雑誌の黄金時代を築いた大日本雄辯會講談社の伝説的雑誌『キング』。同時代のメディア環境全体のなかでこの国民大衆誌の意味を捉え直し、戦時体制下において「雑誌王」野間清治と「講談社文化」とが果たした役割を解き明かしたメディア史研究の金字塔、ついに文庫化!
出典:岩波書店公式サイト