『パイドン―魂の不死について』プラトン、岩田靖夫訳(岩波文庫)
改版2025年
254頁
目次(収録作品)
一 序曲(五七A一―五九C七)
二 死に対するソクラテスの態度(五九C八―七〇C三)
(一)ソクラテスの夢―ムーシケーをせよ―(五九C八―六一C一)
(二)自殺禁止論―人間は神々の所有物である―(六一C二―六三E七)
(三)哲学者は死を恐れない。死とは魂と肉体との分離であり、哲学者は魂そのものになること、すなわち、死ぬことの練習をしている者であるのだから(六三E八―六九E五)
(四)ケベスの反論。魂は肉体から離れると煙のように飛散消滅するのではないか(六九E六―七〇C三)
三 霊魂不滅の証明(七〇C四―一〇七B一〇)
(一)生成の循環的構造による証明。生から死へ、死から生へ(七〇C四―七二E一)
(二)想起説による証明。イデアの認識は想起である。故に、人は誕生以前にイデアを見ていたのでなければならない(七二E三―七七A五)
(三)さらに強力な証明へのケベスの要求(七七A六―七八B三)
(四)魂とイデアの親近性による証明(七八B四―八四B八)
(A)合成的なものは解体し、非合成的なものは解体しない。肉体は合成的であるが、魂は非合成的である(七八B四―八〇C一)
(B)われわれはできるだけ自分自身の魂を肉体との交わりから浄め、魂自身となるように努めなければならない(八〇C二―八四B八)
(五)間奏曲1。白鳥の歌(八四C一―八五D一〇)
(六)シミアスの反論。魂が肉体の調和ならば、肉体の壊滅と同時に魂も死滅する(八五E一―八六E五)
(七)ケベスの反論。魂が肉体より長命だとしても、幾度も肉体を着潰すうちに疲労し衰弱して、ついに滅亡しない、という保証はない(八六E六―八八B八)
(八)間奏曲2。言論嫌い(ミソロギアー)への戒め(八八C一―九一C五)
(九)シミアスへの答。想起説と「魂は調和である」という説とは両立しない。魂は肉体的な構成要素に支配されるのではなく、支配するのである(九一C六―九五B八)
(一〇)ケベスの論点の確認(九五B八―E六)
(一一)間奏曲3。最終証明への準備(九五E七―一〇二A九)
(A)アナクサゴラス(自然学)への失望(九七B八―九九D三)
(B)第二の航海―仮説演繹法(ヒュポテシスの方法)―(九九D四―一〇二A九)
(一二)霊魂不滅の最終証明―イデア論による証明―(一〇二A一〇―一〇七B一〇)
四 神話―死後の裁きとあの世の物語―(一〇七C一―一一五A八)
五 終曲―ソクラテスの死―(一一五B一―一一八A一七)
刑死の当日、ソクラテスは弟子たちと「魂の不死」をめぐる探究に挑む。魂はいかにして肉体の死を超えうるのか。魂のあり方は人間の生き方にいかなる意味をもつのか。イデア論の可能性を切り開きつつ、主著『国家』へと続くプラトン哲学の代表的対話篇。文字を大きくし新解説を加えた改版。(解説=岩田靖夫・篠澤和久)
本書表紙(カバー)より
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『パイドン―魂の不死について』プラトン、岩田靖夫訳(1998・岩波文庫)
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