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『ゴルギアス』プラトン(講談社学術文庫)

『ゴルギアス』プラトン、三嶋輝夫訳(講談社学術文庫)

2023年
320頁




目次(収録作品)

プロローグ ゴルギアスとは何者か
第一幕 ゴルギアス対ソクラテス
第二幕 ポロス対ソクラテス
第三幕 カリクレス対ソクラテス
エピローグ 死後の裁きについて

プラトン初期対話篇の代表作、練達の訳者による決定版新訳が完成!
本書では、当時を代表するソフィストであるゴルギアス、その弟子ポロス、気鋭の政治家カリクレス、ソクラテスの崇拝者カイレポンの四人を相手にしてソクラテスが対話を展開します。その中心的な主題は「弁論術とは何か」です。
ただ雄弁に語り、聞く人を説得するのが理想的な弁論術ではありません。大した内容もなく、正しい知識を与えることもないのに、相手を論破したり、耳障りのよいことを訴えたりするだけの言葉が今もよく聞かれます。言うまでもなく、そのような言葉を語る人が政治的な意図を隠しているなら、聞く者は気づかぬうちに意図された方向に導かれ、特定の政治的な主張を支持するようにもなるでしょう。古くは「プロパガンダ」と呼ばれ、今日では「フェイクニュース」や「ポストトゥルース」、「オルタナティブファクト」などと呼ばれる現象には、そのようなからくりが含まれています。
では、正しい弁論術とはどのようなものなのか? ソクラテスは、ゴルギアス、ポロス、カリクレスの順に濃密な対話を交わし、その答えを明らかにしていきます。それは最終的に「正しさ」とは何かを知ることに行き着くでしょう。何が正しいのかを知っている人にしか正しい弁論術は使えない――当たり前に思えますが、その当たり前のことを残念ながら人類はプラトンの時代よりよく理解し、実践していると言えるでしょうか?
価値の基準が崩壊したと言うしかない現代世界の中で、道徳的であること、正しくあることとは何か、という問いは、ますます重要性を増しています。練達の訳者によって蘇ったプラトン渾身の対話篇を手に、今と未来を考えていただけるなら幸いです。

出典:講談社BOOK俱楽部


[関連]
『ゴルギアス』プラトン、加来彰俊訳(改版1967・岩波文庫)

『ゴルギアス』プラトン、中澤務訳(2022・光文社古典新訳文庫)

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